第3話 和菓子屋さんの看板姉妹
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
うさかほのか》。花陽と同じ音ノ木坂学院の二年生で、この店『穂むら』の看板娘の一人。
両親が忙しい時、或いはお小遣いを稼ぎたい時にこうして店番をしているらしい。
「久しぶりだねはるとくん、元気にしてた?」
「まぁ......お陰様で」
「そういえば今年から高校生だね!どこの高校に通ったの?」
近くの男子校です、とだけ答えて店内に入る。そして後ろからもじもじと僕の背中に隠れて付いてくる幼馴染が一人。当然気付いた高坂先輩はレジとの格闘を終え、割烹着を脱ぎながら花陽に尋ねる。
「あれ?後ろの女の子は?音ノ木坂の制服だよね?もしかして彼女?何年生?」
「ふぇ?え、えっと...その、私は......」
初対面の女の子に遠慮なしにグイグイ質問してくる高坂先輩は一種のナンパしてくる若い男の人、もしくはお酒で酔った中年おじさんみたいになっていた。
それに対し相手は僕や凛を相手にしてもたまにオドオドする花陽だ。当然初対面の、しかも同じ高校の先輩を相手にしちゃうとどんどん言葉が小さくなって喋れなくなってしまう。その気持ちはわからなくもないけど、やっぱり僕の幼馴染は極端だ。
「........っ」
結局花陽は高坂先輩にペコリと軽くお辞儀をしただけで自分の名前を一文字を言えずに僕の後ろに隠れてしまった。高坂先輩はそんな花陽をあまり追求せずに「そっかー。恥ずかしがり屋さんなんだね〜」とだけ言って後片付け作業に戻る。
「すいません先輩、この子極度の人見知りでして...前に少し名前を出した幼馴染の小泉花陽って言います。あと、彼女じゃありませんよ」
「そうなんだぁ〜!よろしくねはなよちゃん!」
「ほら花陽ちゃん、先輩に挨拶しなきゃ失礼だよ?」
「え?いや、でもぉ...」
後ろで隠れている花陽を前に連れ出す。ちょっとかわいそうだけど成長した彼女を見たいだけ、僕の本心はそんな感じ。
「こ、こいず..み...はな..よ、です。」
「初めましてはなよちゃん!私、高坂穂乃果っていうの。音ノ木坂学院に通う高校二年生だよ!よろしくねっ!」
......うん、やっぱり改めて思う。
高坂先輩すごくフレンドリーな方だなぁ......と。
張りのある澄んだ声で自己紹介し、花陽の前に来て握手を求める。
「......よ、よろしく...お願いします...」
最後の「お願いします」が高坂先輩に聞こえたかどうかわからないくらい小さい声だったけど頑張って先輩と交流できたことは素直にうれしかった。
「ところではるとくんはこんな時間にどうしたの?」
「ええと、妹に頼まれたいつものお饅頭を...」
「おお!ありがとうございます
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ