第30話
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シュアは溜息をついた。
「そ、そんな凄いヤツなんだ!?」
一方釣りが趣味であるエステルは興味心身で聞いた。
「ああ、私は5年近くヤツを追っているのだが……。なにせ、広大なヴァレリア湖をあっちに行ったりこっちに来たりと
気まぐれにエサ場を変える魚でね。最近、この辺りに現れた事を知って、私も王都から追っかけてきたわけさ。」
「フッ、大した情熱だ。その気持ち、判らなくもないよ。ボクも気に入ったものがあったら、何としても手に入れたくなる口でね……たとえば『グラン=シャリネ』とか。」
「あれは手に入れたんじゃなくて飲み逃げしたたげでしょーが。」
ロイドの情熱に同じ気持ちのつもりのオリビエだったが、すかさずエステルが否定した。
「コホン……話を戻すわよ。それで、ロイドさん。夜釣りから戻ってきてどうしたの?」
話を戻すためにシェラザードは咳払いをした後、再び尋ねた。
「あ、ああ……。それで、ボートを戻して宿の中に入ろうとしたんだが……。奇妙な二人組が、宿の敷地から街道に出て行くのを見かけたんだよ。」
「街道って……そんな真夜中にですか?」
ロイドの言葉に疑問を持ったヨシュアは尋ねた。
「ああ、間違いない。アンセル新道に出て行ったよ。最初は、街から遊びにきた連中が戻るところなのかと思ったけど……さすがに時間が遅すぎるし、次の日、宿の人間に聞いてみたらそんな連中知らんと言うじゃないか。幽霊でも見たんじゃないかって思わず背中がゾーッとしたものさ。」
「ゆ、幽霊!?そ、そんなの出るの、ここ!?」
思い出して震えているロイドの言葉にエステルは悲鳴を上げた。
「はは、何せその二人組、若い男女のカップルだったからね。もしかしたら、周囲に認められずに心中したカップルだったのかも……」
「あぅぅぅ〜、や、やめてよぅ!」
怪談話をするようなロイドの雰囲気にエステルは悲鳴を上げて耳を塞いだ。
「やれやれ……相変わらず幽霊話には弱いのね。」
「そのクセ聞きたがるんですよ。怪談とか、世にも奇妙な物語とか。」
「ふふ、エステル君もそうやって恐がってる分には、なんとも可愛らしいじゃないか。寒さに震える子猫のようだよ♪」
震えているエステルの様子にシェラザードは苦笑し、ヨシュアは面白そうな表情で話し、オリビエはからかった。
「ふーっ、噛み付くわよ!?」
オリビエの言葉に頭にきたエステルは振り向いてオリビエを睨んだ。
(う〜ん……幽霊ってそんなに怖いものですかね?リタさんのことを考えたらそれほど怖くないのですが……?)
(プリネ、あ奴を比較対象にしてはダメだ。参考にならん。)
(ん。エ
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