第29話
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弱冠の驚きを隠せず、リシャール達を評価した。
「ハッ。お褒めの言葉をあずかり、光栄です。」
「ただこれだけは言っておく。ティア殿は確かに我がマーシルン家の者だが、あの方は一信者としてイーリュンの教えを全うしている。よって余達の機嫌を取っても無駄だぞ。」
「わかりました。殿下の大切なお言葉、心に留めさせておきます。」
「やれやれ……モルガンとは違った堅物だな……それよりそこのカノーネとやらも言っていたが時間があまりないのであろう?部下達を困らせないためにも行ってやれ。余達はもう気にしておらぬ。」
「ハッ!それでは失礼いたします!……おっと、言い忘れる所だった。遊撃士諸君、何かあったら連絡してくれたまえ。私でよかったら相談に乗ろう。」
「……失礼いたします。」
リフィア達とエステル達にリシャールとカノーネは軽く会釈した後、その場を去った。
「リシャール大佐って……どこかで聞いたことあるような。」
去って行くリシャールの後ろ姿を見てエステルは呟いた。
「ナイアルさんが言ってた人だね。王国軍情報部を率いるキレ者の若手将校だっていう。」
「あ、そうだった♪うーん、軍人にしてはけっこう話が判るヒトだったね。」
ヨシュアの言葉で完全に思い出したエステルはリシャールの自分達に対する態度を思い出し、感心した。
「ふむ、歳は30半ばくらい、ルックスも悪くないと来たか……。軍人より政治家に向いていそうね。」
シェラザードは自分なりにリシャールを解釈した。
「おーい、お前さんたち。今の黒服の軍人、誰なんだ?なんか見覚えがあるんだが……」
そこにナイアルが工房から出て来て首を傾げながらエステル達に尋ねた。
「なんだ、顔は知らないんだ。ナイアルが言ってた、情報部のリシャール大佐だってさ。」
「な、なにーーーーっ?おいおい、そりゃホントか?」
エステルの答えに驚いたナイアルは聞き返した。
「う、うん……。」
「本人がそう名乗っていたから間違いないと思いますけど……」
ナイアルの様子にエステルはたじろぎ、ヨシュアは丁寧に答えた。
「まさかこんなところで噂の人物に出くわすとは……。こうしちゃいられん!ドロシー、追いかけるぞっ!」
「アイアイサー!よくわかりませんけど〜」
エステル達の答えを聞いたナイアルはドロシーと共にリシャールを探すために走り去った。
「は、張り切ってるわね〜。インタビューでもするのかな?」
「ふふ、確かに記事にしたら受けそうな人物ではあるわね。」
ナイアル達の様子を見て呟いたエステルの言葉にシェラザードは笑って答えた。
「……ふむ………」
「ん
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