第28話
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オリビエの答えにエステルは納得したような表情をした。
「遊撃士規約で必ず覚えておく必要があることなのに、案の定忘れてくれちゃって……これは再テストが必要かしら?」
「え〜!!やっと遊撃士になったのにもう、テストはゴメンよ〜!」
シェラザードの言葉に嫌な予感を感じたエステルは泣き言を言った。
「フフ………でも、エステルさんがアーライナ教会からさまざまな援助を受けられる立場は変わりませんよ?」
「ほえ?それってどういうこと?」
プリネの言葉にエステルは首を傾げた。
「エステルさんの付けているそのブローチはアーライナ教の信者の証にもなります。ですからそのブローチをゼムリア大陸中にあるアーライナ教会に見せれば、教会で販売している治療薬を通常の半額で販売してもらえますし、さまざまな薬品を売ってもらうことも可能です。……まあ、将軍の前では少し大げさに言って見ただけですから、アーライナ様の神託を受けれたり等はさすがにできませんよ?」
「え………信者でもないのにいいの!?」
ただのお守りと思っていた大切なブローチが持つ効果を知ったエステルは驚いて聞いた。
「ええ、構いませんよ。母は信者以外に個人的に気にいっている方にも渡していますから。……ほら、私はそのブローチを加工してもらって髪飾りにしています。」
「あ……ホントだ。シェラ姉が持っているのは知っていたけど、プリネも持っていたんだ。この髪飾り、どこかで見たと思ったけど、あたしのブローチと同じ物だったんだ……」
プリネが普段からつけている髪飾りの宝石と宝石の裏に彫られている女神――アーライナの姿を見て、エステルは呟いた。
「これって、そんな意味もあったのね……」
シェラザードもペテレーネの弟子になって数ヵ月後に初めて使えた魔術で祝い代わりにペテレーネから貰ったブローチを見て呟いた。
「……ねえ、プリネ。ずっと思っていたんだけど、なんで聖女様はこのブローチをあたしにくれたのかな?聖女様の弟子のシェラ姉や娘のプリネはわかるんだけど、あたしなんか一回会ったきりだよ??それも会話なんかほとんどしなかったし。」
「確かにお母様がエステルさんと直接会って話したことがあるのは少ないですが、以前にも言ったと思いますがエステルさんのことはマーリオンやリスティさんを通してお父様に報告されていましたから。多分お母様はエステルさんに主神・アーライナに気にいられる要素があると思って、渡したんだと思います。」
「へ……それってどういうこと??」
「お忘れですか?アーライナ様は”混沌”を司る女神。エステルさんが普段私達”闇夜の眷属”への接し方を自分達”人間”と同じ態度で接することもまた”混沌”になります
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