第26話
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あ、あんた……どうしてここにいるのよ?ボースに案内したハズでしょ!」
「しかも、こんな牢屋に閉じ込められてるなんて……。一体、何をしでかしたわけ?」
牢屋にいる青年がオリビエとわかり、エステルは驚きシェラザードはなぜここにいるかを尋ねた。
「まーまー、そう一度に質問しないでくれたまえよ。これには海よりも深く、山よりも高い事情があるのさ。」
「あっそ、だったら聞かない。ていうか聞いちゃったらものすごく疲れそうな気がする。」
「偶然だね、エステル……僕もそんな予感がするんだ。」
「そういうわけで、話してくれなくても結構よ。あたしたちの健康と美容のために。」
物語を語る詩人のような大げさな口調で話すオリビエにエステルはきっぱり断り、ヨシュアもそれに同意し、シェラザードも断った。
「はっはっはっ。そんなに遠慮することはない。一部始終聞いてもらうよ……ボクの身に起きた悲劇的事件をね。」
だがオリビエはエステル達の否定の言葉を無視して、続きを話した。
(聞いちゃいない……)
得意げに話し始めようとしたオリビエにエステルは溜息をついて、諦めた。
「キミたちと別れた後……。ボクは、マーケットを冷やかしてから、レストランの『アンテローゼ』に入った。そして、存分に舌鼓を打った後、余興にグランドピアノを弾いたのさ。すると、レストランの支配人が身を震わさんばかりに感激してね……。レストラン専門のピアニストとして雇いたいと頼み込んで来たわけだよ。」
「どうでもいいけど……あんた、リュート弾きじゃないの?」
得意げに語るオリビエにエステルはオリビエと出会った当初、リュートを弾いていたのを思い出して、どうでもいいような表情で尋ねた。
「フッ、天才というのは得物を選ばないものだよ。それはともかく……ボクはある条件を出してそのオファーを受けたわけだ。ミラの代わりに、料理とワインを毎日タダでご馳走してくれってね。」
エステルの疑問にオリビエは髪をかきあげて答えた。
「何て言うか……オリビエさんらしいですね。でも、それがどうしてこんな牢屋に入れられることに?」
オリビエの語りに苦笑したヨシュアは牢屋に入るに到った理由を聞いた。
「ああ、ここからが聞くも涙、語るも涙の話なのさ。その夜、さっそくボクはシェフに作らせた鴨肉のソテーに舌鼓を打っていたのだが……血を使ったソースがまたたまらなく濃厚な味わいでねぇ。どうしても普通の赤ワインでは物足りなく感じてしまったのだよ。」
「なんか無性に殴りたくなってきたわね……。それであんたはどうしたの?」
オリビエの話し方にエステルは殴りたくなる衝動を抑えて聞いた。
「貯蔵庫の奥に保存されてい
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