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少年は旅行をするようです
少年は加速するようです Round4
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けられた様な音を立てて

消滅し、重い音を立て転がる。その後もシアン・パイルが果敢に攻めるも一切通用せず、体から

吹き出すスパークを増やし続け、遂に痛覚フィードバックに耐えられず膝をついた。


「なるべく見せたくはなかったんですけれどね……まぁ理解も出来ないでしょうけれど、でも

これで分かったでしょう?力の差と言うものを。僕に従うしかない現実をね。」

「き、さま……!」
ガッ!

尚も立ち上がろうとしたシアン・パイルの頭を蹴り飛ばし、頭を踏みつける。

つい三十秒前までボコボコにされていた姿とは思えない。まるで普通の対戦格闘ゲームに

MUGENのキャラが現れた様なワンサイド、正にチートだ。成程これはつまらん。

創造者と被創造物と同じくシステム的優位差があるらしいが、プレイヤー同士でそれはダメだろ。


「さて、もういいか。」


今日の主目的・・・即ち放課後にハルっちに聞こうと思っていた"心意"を思わぬ所で見れた

俺はそこそこ満足し、メニューから途中退場を選ぶ。この先の展開は大体覚えているし、

バトルロワイアルに巻き込まれた後での途中退場は負け扱いになってしまう。そんなのは不本意も

甚だしい。と言うか無駄に過ぎる。そんな訳で俺は先に観戦席から離脱、僅かなタイムラグを経て

現実時間へと戻り、あと僅かだったゴールまでを走り切っておく。

遅れて数瞬、俺の数十メートル後方を走っていたハルっちは猛然とダッシュ、ゴールしても尚

止まる事無く走って行き、昇降口手前でタッくんに止められて言い争っていた。

それを一瞥して、俺は残りの授業をサボりポイント稼ぎでもしようかと、邪魔の入らない家へ

転移する。誰か居るかと思ったのだが、流石に仕事やら授業やらで出払っているようだった。


「ノワールは良いよなぁ……美少女達と一緒に修学旅行行って、水着でキャッキャして……。

俺なんか男所帯で見たくもない試合見て、胸糞展開に付き合わないといけないんだぞ?

いやだなぁ、めんどくさいなぁ、寂しいなぁ………あーやる気出ないなぁ…………。」


居間のソファに座った途端、作業ゲーさえする気も萎え、横になってしまう。

―――つまりはこれが、俺が"召喚系アバター"を手に入れてしまった理由なんだろう。想い慕う

誰かと常に一緒に居たいという願い。あるいは執着。そして他者を受け入れないからこそ防御力が

高く、"召喚"するまでは何も持たない――よく考えれば、剣と盾さえオウカの物なんだろう――

誰かと組んだ時こそ真価を発揮する・・・そんなアバターになったんだろう。


「分かった所でどーしたっつの。はぁ…………。」
ガチャッ
「ただいま――って
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