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ラスク=マイド
第三章

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「酒もいいけれどな」
「よし、じゃあな」
「ストックホルムではいたんだよな」
「別れたけれどな」
 それでもとだ、グスターヴォは事実を以て友人に答えた。
「いたよ」
「だったらな」
「レークサンドでもか」
「同じスウェーデンにいるんだろ、だったらな」
「ここの女の子も同じか」
「別に特別扱いもしてないだろ」
「いや、全然」
 この問いにはいつも通りはっきりと答えた。
「それはないからな」
「じゃあいいよな」
「わかった、じゃあいい娘探すか」
「それでいい娘を見付けたらな」
 その時はとだ、友人はグスターヴォに身を乗り出す様にして言った。
「わかってるな」
「ああ、よくな」
「ならいいさ」
 友人も笑って返した。
「それじゃあな」
「夏至祭楽しみにしてるな」
 グスターヴォもこう返した、そして。
 その夏至祭に出てだ、彼は驚いて友人達に言った。
「おい、何だこれ」
「えっ、何だこれって」
「だから夏至祭だろ」
「何か外国の祭り見たみたいな顔してるな」
「一体どうしたんだ」
「どうしたもこうしたもないだろ」
 その驚いた顔で友人達に言う。
「この祭りは」
「だから夏至祭だろ?」
「我が国の夏至祭だろ」
「別におかしなところはないだろ」
「ストックホルムでもこんなのだろ」
「いや、違う違う
 すぐにだ、グスターヴォは否定した。
「こんなのじゃない」
「っていうとどんなのなんだ?」
「ストックホルムの夏至祭ってどんなのだ」
「こんなのだろ、やっぱり」
「出店があってビールが出てな」
「賑やかで踊りもあって」
「音楽もあるだろ」 
 友人達はグスターヴォに口々に言う。
「そういうものだろ」
「違う筈ないだろ」
「まさかそういうのないとかか?」
「まさかと思うけれどな」
「いや、どれもあるよ」
 出店やそうしたものはとだ、グスターヴォも答える。
「音楽も踊りもな」
「それにビールもだよな」
「全部あるよな」
「やっぱり夏至祭だからな」
「あるよな」
「あるよ、けれどな」
 それでもというのだ。
「服は違うぞ」
「ああ、服か」
「服のことか」
「そういえばそうだな」
「ここは女の子こうした時にはな」
「特別な服着るからな」
「昔ながらのな」 
 友人達もここで気付いた、何故グスターヴォが今こう言うのか。見ればだ。
 女の子達は古い服を着ていた、それは服の質が古いのではない。所謂民族衣装という昔ながらの服を着ているのだ。
 白いブラウスの襟はひらひらとしていてかなり大きく紅の薔薇の刺繍が葉と共に入れられている。赤い点の刺繍も多い。
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