第2話 放課後日和
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.食べあいっこだよね。だから、はい」
凛はしばらく躊躇うも意を決してパクリ!と、僕のクレープにかじりつく。
そして、一口どころか四分の一を持っていかれた。
「凛ちゃん持っていきすぎ......」
「にゃ〜おいしそうだったからつい」
「まぁ......おいしそうに食べてるからいいかな。」
おいしそうだったから、と凛は言うが実のところあまりにも恥ずかしくて羞恥を紛らわそうと思いっきりかぶりついたのは本人にしかわからない。
そしてさっきからちらちら僕たちのやり取りを見ているもうひとりの幼馴染にもクレープを向ける。
「...いいの?」
「花陽ちゃんもほら、一口どうぞ」
僕とクレープを交互に見た後、クレープの端を食べる。遠慮したためか花陽の食べた箇所がほとんど生地のところだけだったので、具のあるところをちぎって、
「ほら、口開けて」
「え、ムグッ!?」
口の開いたときに押し込んだ。
花陽は咀嚼を繰り返して、飲み込む。
「あ、、ありがとう......」
「ちっちゃい頃から僕たちいろんなもの半分にしてきたんだからさ。今更遠慮しなくてもいいからね。」
僕の食べるところが結構なくなっちゃったけど、お構いなしに食べ始める。
気が付くと凛は食べ終わっていて、僕の手に持つクレープを見て欲しそうにしていた。
あの......僕全然食べてないんですけど。
凛に取られないようにそっぽを向いて食べる。
凛は僕の反対隣りにやってきてクレープだけ凝視する。その口からは僅かに涎が垂れていた。
「.........」
「じ〜っ」
「.........」
「じ〜っ」
「.........」
「じ〜っ」
「.........」
「じ〜っ」
僕が反対側を向けば凛も移動し、また僕が反対側を向けば凛も移動する。
それは親の周りをちょろちょろ動き回る子供のようだった。
終いには「にゃ〜」と、唸り声をあげ、猫そのものになろうとしていた。
かくなる僕の決断はこうだった。
「......はい」
名残惜しいけど僕は食べかけのクレープを凛に差し出した。
さらば...420円(税込み)のクレープよ
「いいの!?やったにゃ〜〜〜〜〜っ!!ありがと春くん!!」
なんとも嬉しそうな笑顔でぴょんぴょん跳ねる凛は、ふといきなり立ち止まり何かに視線を向ける。そして何故か食べてる最中の花陽の手を握って走り出した。
「かよちん、あそこのゲーセン行っくにゃ〜〜〜っ!!」
「ふぇぇぇ!?待って凛ちゃん引っ張らいで!?」
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