第11話
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「あのな……連れていけるわけねえだろが。常識で考えろよ、常識で。」
「で、でもでも……!おじいちゃんが攫われたのにわたし……わたし……!」」
大好きな祖父を攫われたにも関わらず待っている事ができないティータは初対面で恐怖を感じた男性でも食い下がろうとしたが
「時間がねえからハッキリ言っておくぞ……足手まといだ、付いてくんな。」
「……っ!」
アガットの言葉に泣きそうな顔をした。
「ちょ、ちょっと!少しは言い方ってもんが……」
アガットの直接的な言い方にエステルは咎めるかのように睨んだが
「黙ってろ。てめえだって判ってるはずだ。素人の、しかもガキの面倒見てる余裕なんざねえんだよ。てめえの生意気な妹―――”戦天使の遊撃士(エンジェリック・ブレイサー)”と違って、そのガキは自分の身を自分で完全に守れる訳じゃねえし、”一般人”だ。」
「そ、それは……」
アガットの正論に返す言葉がなく、黙り込んだ。
「ヨ、ヨシュアお兄ちゃん……ルークさん……」
エステルの様子を見てティータは助けを求めるかのようにヨシュアとルークを涙目で見つめたが
「―――ごめん、ティータ。僕も反対だ。あの抜け目ない連中が追撃を予想していないわけがない。そんな危険な場所にティータを連れていけないよ。」
「悪いけど俺もヨシュアに同意見だ。下手をしたらティータを集中攻撃して、俺達がティータに目を取られている隙にラッセル博士を完全に連れ去る可能性だって十分考えられるしな。」
ヨシュアとルークは無情にもそれぞれ自分の同行に反対した。
「う〜っ……ごめん、ティータ。やっぱ連れていけないみたい……」
「エ、エステルお姉ちゃん……ひどい……みんな、ひどいよぉっ……」
そして最後の頼みの綱であるエステルからも断られティータは泣きながらギルドを出た。
「ティータ!」
泣きながら走り去ったティータをエステルを追おうとしたが
「待った、エステル。今僕達にできるのは一刻も早く博士を奪還して彼女を安心させておくことだ。」
「今はそっとしておいてやろうぜ。」
「ヨシュア……ルーク兄……わかったわ。確かにあたし達に今できるのそれぐらいね。」
ヨシュアとルークに諌められ、ティータを追うのを諦めた。
「ったく、一秒でも惜しい状況だっていうのによ……―――キリカ!軍への連絡は任せたぞ!」
「ええ、そちらも武運を。」
「皆さん、気を付けてください。」
そしてルーク達はキリカとアルバ教授の言葉を背に受けてギルドから出て、”紅蓮の塔”に向かう為に街道を走って進み始めた。
〜トラッド平原道〜
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