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英雄伝説〜光と闇の軌跡〜(FC篇)
外伝〜イリーナの決意〜
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がない訳です………」
市長は娘夫婦の訃報を聞き、ショックを受け両手から力が抜けた後、顔を下に向けた。
「心中お察しする………預かった2人の安全を考え、事件が解決するまで連絡しなかったことには謝罪する。」
「………いえ、孫達のことを考えての行動としてはあの時はそちらの方が安全です。………孫達を救い今まで守ってくださってありがとうございました………」
市長は孫達だけでも生きていることに希望を持ちリウイにお礼を言った。
「俺達は王族としての義務を果たしたまでだ……それで、2人をどうする?」
「当然私が育てます!迎えに行かせていただいてもよろしいでしょうか?」
「……かまわん。ただ後2、3日ほどクロスベルで用事があるので待ってほしい。クロスベルを発つ時、必ず連絡はする。」
リウイは今は亡き愛妻が転生した可能性のある少女が自分の許を離れる事に一瞬だけ迷ったが、気を取り直し答えた。
「わかりました。連絡をお待ちしております。」
「ああ。………それでは失礼する。」
そしてリウイは市長邸を後にした。

ホテルへの帰り道、リウイは赤ん坊を抱いて幸せそうにしている夫婦に気付いた。
「うん?あれは………」
リウイはその家族を見て少しだけ驚いた。なぜなら、その夫婦は報告にあったレンの両親でもあったのだ。
「ふふ、本当に可愛いね。お前にそっくりだよ。」
「ほ〜らよしよし」
女性は抱いている赤ん坊をあやしていた。
「ふふ、前の子はあんなことになってしまったけれど……でもよかった。女神様は私達をお見捨てにならなかったんだわ。」
「おいおいその話はしない約束だろう?昔のことはもう忘れよう。」
「ええ……哀しいけれどその方があの子のためよね……おお、よしよしいい子でちゅね〜」
「あぶぅ、あぶぅ。」
赤ん坊は女性に甘え、また女性も笑顔であやしていた。
(………下衆共が………!………あの親子をどうするかはレン次第だ。俺達がどうこう言う事ではない。俺達ができるのはあの子を見守り立派な大人に育てるだけだ………
ヘイワーズ夫妻よ、今はいいがその子供が成長するに従ってお前達はきっと捨てた娘のことを思い出し後悔する。その罪をどう償い、捨てた娘とどう向き合うかはお前達次第だ……今は偽りの幸福をかみしめるがいい……!)

リウイはレンを忘れようとしている実の両親を心の中で怒った後、踵を返しホテルへ向かった。

数日後――――

〜メンフィル大使館〜

数日後ティオを治療したペテレーネと孫を迎えに来たマグダエル市長と共にリウイはメンフィル大使館に帰還した。
「今、戻った。」
「御苦労様です。」
「「お帰りなさいませ!陛下、ペテレーネ様!」」
門番達はリウイとペテレーネに敬礼をした。

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