第八話 安息日にその四
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「そこで、ね」
「そこでって?」
「あっ、まずはね」
ここは誤魔化した優子だった。
「次に行くね」
「美術館のことなんだ」
「そこに行くから」
「さっき言ったよね」
「あそこのことをね」
考えていたというのだ。
「そうだったの」
「ここの美術館もね」
優花は美術部員として言った。
「いいよね」
「絵も彫刻もね」
「いいものばかりだよね」
「国宝級のものもあるわね、ただね」
「姉さん美術系は、だよね」
「あまりね」
首を傾げさせてだ、優子は少し苦笑いになって述べた。
「得意じゃないのよ」
「造詣がないって自分で言ってるね」
「どうもね」
「そうだよね」
「ただ、あそこの美術館にいいものが多いことはね」
そのことはというのだ。
「姉さんもわかるわ」
「うん、古今東西の絵とかが揃っててね」
「ルネサンス時代の芸術は」
特にと言うのだった。
「いいわね」
「そうだよね」
「流石にミケランジェロとかはないけれど」
レオナルド=ダ=ヴィンチと並ぶルネサンス芸術の最高峰である。ダビデ像や最後の審判といった作品で知られている。
「それでもね」
「いい絵とか一杯あるね」
「日本の芸術品もね」
「多いよね、あそこは」
「現代芸術もあったりして」
「面白いのは」
ここでこう言った優花だった、ハムサンドを食べつつ。
「ソ連のポスターとかあるね」
「ああ、プロレタリアアートね」
「僕共産主義は好きじゃないけれど」
「絵としてはいいわよね」
「うん、かなりね」
「ロシアは音楽もいいけれど」
「絵もいいよね」
姉に対して答えた。
「そちらも」
「ええ、それにファッションもいいのよ」
「そうなんだ」
「軍服とか格好いいのよ」
「ああ、そういえば」
テレビで観るロシア軍の軍服を思い出してだ、優花は姉に応えた。
「ロシア軍の軍服も格好いいね」
「そうでしょ」
「逞しい身体の男の人に似合うね」
「軍服でも普通の服でもね」
「ロシアはいいんだ」
「センスがあるのよ」
「芸術センスのある国なんだね」
優花はここでも美術部員として言った。
「寒いだけじゃなくて」
「そうね、それで美術館にもね」
「ソ連時代のポスターもあるんだね」
「それも観ましょう」
「じゃあね」
「芸術は生まれ続けているのよ」
今この瞬間にもというのだ。
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