外伝〜菫の少女との再会〜
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「実は――――」
事情を知らないカシウスにルークはレンが剣術の練習をする事になった経緯を説明した。
「……………………………ルーク、ちょっとこっちに来い。話がある。(二人には聞かせられない話だ。)」
「あ、ああ。」
真剣な表情のカシウスに小声で話しかけられたルークは鍛錬している2人から距離を取った。
(先程のレンの件だが、恐らくあの娘に投与された薬物が関係していると俺は睨んでいる。)
(へっ!?”D∴G教団”の!?)
(お前も報告書で読んでいるはずだ。奴等が開発した”グノーシス”と呼ばれる薬物で様々な”実験”を犠牲となった子供達に施し、更に俺達が襲撃した際、連中はそれを呑んで異形の存在になった事も。)
(!!じゃ、じゃあレンがあんな短時間ですぐに剣を振れるようになったのって……!)
忌まわしき事件の影響が未だにレンに残っている事に気付いたルークは顔色を変えた。
(恐らく投与された薬物の影響で身体能力や記憶能力も大幅に向上しているのだろうな。)
(………どうすんだ?)
(レン自身が戦う事を決めたのなら、俺達はどんな形であれ得てしまった”力”を間違った事に使わないように導くだけだ。)
(………わかった。)
こうして二人は人知れずレンが間違った方向に進まないように教えることを決意し、レンに剣術を教え始めた。
〜1年後・ロレント市〜
「ねえねえ、ママ!今日のディナーって何なの?卵をいっぱい買っていたから、もしかして卵を使った料理かしら?」
「あら、鋭いわね。今日の夕食はオムライスよ。」
「わーい!今日は2回もお母さんのオムレツを食べられるんだ!」
「もう、エステルったら、相変わらずそそっかしいわね?オムレツとオムライスは全然違うわよ。いつまで経ってもそんなんだから、レンはエステルの事を滅多に”お姉ちゃん”って言わないのよ?」
「むっかー!レンこそおかしな事を言っているじゃない!オムレツとオムライスは一緒でしょう!?」
「もう、この娘達ったら………はいはい、喧嘩をしないの。」
レンにからかわれ、頬を膨らませているエステルを見たレナは呆れた後、苦笑いをしながら二人を宥めていた。
「………………………」
レナやエステルと笑い合って歩いているレンをレンと全く同じ容姿で、唯一違うのは菫色の髪のレンとは違い、髪の色は夕焼けのような橙色の髪をサイドテールにした少女は愕然とした様子でレンと同じ琥珀色の瞳を震わせながら見つめていた。
「何で……何でおねえちゃんだけ、”幸せ”になっているのよ……!ユウナと同じ”穢れた子供”なのに……!」
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