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【仮題】黒翼騎士の英雄譚
第01話:邂逅
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 破軍学園、理事長室。
 そこには、理事長の机に座る女性――神宮寺黒乃と、その机の前に立つ一人の男子生徒、黒鉄一輝の姿があった。

「それで、黒鉄一輝。君はこの一年間、連絡も無しに何をしていたのかね?」
「武者修行の旅ですよ。休学届けにもそう書いてましたよね?」
「ふむ。」

 確かに、黒乃の手元には昨年一輝が提出した休学届けがあり、理由にはしっかりと『武者修行の旅に行ってきます』と書いてある。だが――

「こんなふざけた理由が通るか馬鹿者」
「ですよねー」

 呆れた口調で黒乃が一輝の頭をはたく。
 そして一輝も悪戯がばれた子供のように頬をかく。

「でも理事長。その休学届けは昨年度提出されたもので、昨年度の理事長はそれを承認して判子も押してます。今年から理事長に就任した貴女がとやかく言う事では無いですよね」

 確かに、一輝の言う通りであった。当時の理事長が承認している以上、黒乃にあれこれ言う権限はない。
 ただ、黒乃はこの破軍学園の立て直しの為に理事長に就任している身。休学中とはいえ在籍扱いしている生徒である以上、それは学校の責任の範疇だ。

「今年からは私が理事長だ。そして君は休学していたとはいえ、ここの生徒だ。休学中に問題になるような事はしていまいな?」
「ええ。世間的にまずい事(・・・・・・・・)はしていませんよ」
「…そうか。ならこの件についての話は以上だ。今年度からの君の復学を認める。」

 そして黒乃は一輝の休学届けをしまい、書類を一枚取りだした。

「さて、昨年一年間を休学しているので、お前は一年生からのやり直しだ。何か異論は?」
「ありませんよ。分かってた上で休学しましたし。」
「よろしい。ところで黒鉄。君は『七星剣武祭』は知っているな?」
「ええ」
「かつてはこの破軍学園は優勝常連校だったのだが、最近は成績も振るわなくてな。そこで私が理事長に就任した訳だ。どういう事か分かるな?」
「この学校の生徒が七星剣武祭で優勝しなければならない、という事ですね?」
「話が早くて助かる。私は今年から七星剣武祭の代表選考を学内選抜戦を取り行う事で、実力者(・・・)を代表にするつもりだ。」
「つまり、実力さえあればFランク()にもチャンスがあると?」
「ああ。そこで黒鉄。お前を見込んで提案があるんだが...聞くか?」
「…とりあえず、お話だけ」
「君は入試の際にうちの教員と試合をして倒しているそうじゃないか。Cランクの現役騎士をだ。何かここまでで訂正は?」
「ありません」
「うちの学校の大半の生徒はCランク以下の抜刀者(ブレイザー)見習いだ。つまり、その大半の生徒よりも君は強い。違うかね?」
「相性などの問題もありますが...まあ、負ける気はありません」

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