第二部
狩るということ
じゅういち
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「あ、いえ。用とかって訳ではないんですが」
「……は?」
何もないときた。
さあ、これはどうする。
全く持って初体験過ぎて、意味がわからない。
「では、何をしに来た?」
「えっと、お話をしに、でしょうか?」
「……私に聞かれても困るが」
あれ?この子、結構残念な子なのでしょうか。話をしに来たって、こんな森の奥まで?
え、ちょっとこの子怖いんだけど。
いや、ここは早々に帰って貰おう。この流れは、どう考えても私の手に余る。
「仕事はどうした?」
よしっ!これだ!
彼女はそれなりの地位にいる人物であると見受けられる。ということはだ、ここは職務を思い出して貰って、私などに構っている暇はないと思わせるのが必須だ。
「今日は非番なんです」
神は死んだ。
というかだ、非番の日、つまり休みの日にまでわざわざフル装備で、命の危険を犯してまで森の奥、私がいるであろう場所まで足を踏み入れるって、いったいどういう感覚をお持ちなの?
普通なら友達と街へ繰り出してショッピングとか、お洒落なカフェでランチとか、なんかそういうことをするんじゃないの?
「あはは。私、お友達いなくて」
俺はまだ何も言っていない!
というか、聞いてない!
「そうか」
もうそれしか言えない!
「貴方はお友達とかいるんですか?」
「……いや」
友達、友達か。
同族同士、あるいは氏族同士の結束は強いが、あるとすれば、好敵手だろうか。一番表現するには近いのかもしれない。
友人や親友などといった概念は、我々にはあまり馴染みのないものだ。
特に、我々には序列というものが存在し、種族としてのライフワークである、目に見える狩猟の成果に起因し、そこで序列が変動していくのだ。
時には、自らの序列を上げるために氏族間、同族で決闘を行うこともある。もちろんその結果、命を落とすようなことになったとしてもだ。
同族間での結束は強いが、基本は強いものが偉いのであり、正義なのである。
当然それは、掟に沿った形での強さではあるが。
「それじゃあ、私と同じですね!」
ぶっ殺すぞこの女。
言っていることは正しいけど、なんか、なんか納得いかない。
目をキラキラさせるな。同類を見付けたような顔をするな。
私はなんだかとっても腑に落ちない。
「その、何て言うか、私は王国の騎士団に所属しているのですが、やっぱり女性って少なくて。居ても違う所属であったりとかで、浮いているといいますか」
不味い、なんか語りだした。
「私、この領地に連なるものではあるのですが、その、側室の子供で。あっ、元は母は妾だっ
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