―もう一回―
[2/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
隣の席で貧乏揺すりを激しくしながら、同乗者こと万丈目は語る。そもそもこうなったのも、元はと言えば……誰のせいだっただろうか。エドに会いにヘリポートに行った俺が見たものは、エドに土下座するクロノス教諭であり――プロデュエリスト志望の万丈目に、プロリーグを見せてあげたいということらしい――そこに居合わせた俺を見たエドは、『そこの黒崎遊矢が同行すること』を条件としたのだ。
どちらにせよエドと話をつけたいだけの俺は、万丈目にクロノス教諭の為にもその条件を了承……したはいいのだが、当のエドはさっさと別のヘリコプターに乗り込んでしまい、話すどころかとりつく島もない。
そうしてしばし、空の旅を楽しむこともなく過ごした俺たちは、あるビルへと降り立っていた。やはりエドの姿はどこにもなく、何とかエドのスポンサーをしている千里眼グループのビルということが分かり、万丈目は居心地が悪そうにしていた。……万丈目グループとはライバル企業同士というのだから、そのリアクションも万丈目にとって無理はないことだろう。
「失礼します」
「……はい?」
そうして意図も分からずヘリポートに立ち尽くしていた俺たちに、ある一人の女性が話しかけてきていた。その女性は確かエドの側に控えていた女性であり、その手にはスーツケースが二つほど担がれている。
「あなた方にはこれから、私の助手としてエドの為に働いて貰うことになります」
「何!? オレ様がどうしてエドなんぞのために――」
「……プロの世界を知るには、それが最も手っ取り早いと思いますが」
「っ……」
女性の一方的な言葉に反論した言葉を万丈目が言い終わる前に、さらに続いた女性の台詞に万丈目はただ押し黙ってしまう。エドのマネージャーと思わしき女性は、そんな万丈目の様子を満足げに眺めて微笑んだ後、今度はこちらの方に向き直った。
「黒崎遊矢様。あなたとエド様の間に何があったかは存じません。ですが、エド様に用があるなら近い場所にいた方がいいのでは?」
「……分かった」
「では、こちらのスーツにお着替えください」
――こうしてマネージャーの女性に丸め込まれた俺たちは、しばしエドのマネージャーの助手として働くこととなった。確かにエドの側近となることと同義だったが、人気のプロデュエリストたるエドのマネージャーは、忙しくエドと話す余裕もなく――正直、プロデュエリストというのを舐めていたのかもしれない。
華やかなことばかりではない。特にその裏側ともなれば、どうにも分刻みのスケジュールで動くこととなり、実際にプロとしてデュエルする時間の方が少ない程だ。そんな目が回るような事態に、気が付けばすっかり夜となって……いや、夜も更けていた。
「お疲れ様です。では、また明
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ