バーサクブレイズ
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していた仲間の二人は彼女の奇妙な優しさに苦笑した。
「一応セーブしてたのか……ま、ビーティーなら魔導師百人が相手でも力づくでねじ伏せられるかな。なら僕も負けていられないね」
フェイトが放り投げられた方向にある高架橋道路の上に飛び移ったジャンゴは、なのはより先にたどり着いた者として、フェイトの足止めを担う決意を抱く。何とか空中で静止し、体勢を立て直したフェイトは新たな敵の存在に気付き、視線を向けて……目を見開く。それもそのはず……そこには2年前から、今の状態になってもなお一度も忘れた事が無い兄の面影が色濃く見える男がいたのだから。
「……馬鹿な、そんなはずがない! だって、あの人は2年前に私達の目の前で……!」
「やっぱり似ているから驚くか。初めまして、フェイト。僕はジャンゴ、世紀末世界出身の太陽の戦士で、君の知るサバタの実の弟だ」
「ジャンゴ……!? あなたがなぜここに――――ッ……太陽の戦士、ここで何をしているの? 目障りだ」
一瞬……ほんの一瞬だけ、フェイトは何かの痛みに堪える表情を浮かべた。しかし彼女はすぐに高圧的な目に戻ってしまい、ジャンゴは管理局製のSOPの恐ろしさを直に目の当たりにして衝撃を受ける。
「! ……なるほど。ナノマシンで人格を変えられるというのは、こういう事なのか。彼女の心を機械で黒く塗り潰すなんて……!」
「お前には関係ない。気安いぞっ!」
刹那、ミッド式ゼロシフトを使用して雷光の如くフェイトはジャンゴへ接近、黄色い電気の走る大剣を太陽の戦士へ向けて振り下ろしてくる。高速型魔導師らしい超スピードに一瞬驚くが、会話が出来るなら正気に戻せるかもしれないと思い、ジャンゴはとにかく防御に徹する。剣の刃同士がぶつかるたびに魔力の光が飛び散り、剣戟の音が響き渡る中、ジャンゴは懸命に声をかけ続ける。
「攻撃を止めるんだ、フェイト! 君が僕と戦う理由はないはずだ!」
「戦う理由がない? 何を言うかと思えば……! 我らは世界に選ばれし者……全ての人間は管理局に隷属してこそ、その存在意義がある! 邪魔者は排除するのみ!」
「目を覚ませ! 君はナノマシンで感情をコントロールされているだけなんだっ!」
「これが私の本質! 他にはないッ!」
だが初対面の関係である以上、ジャンゴの言葉は今のフェイトの心に届かなかった。もっと彼女の心に近い存在ならばあるいは……、とジャンゴが考えた瞬間、彼と同様に南部から駆け付けた一人の魔法少女の声が轟く。
「嘘だっ!!!!」
魔力で桃色の翼を生やし、悲痛な表情で今の友の姿を否定する彼女。絶望的な状況から奇跡的に生還し、仲間を守るために再び戦場に舞い戻った不屈の魂。偽りの姿を捨て、ありのままの姿をさらし続けるエース。その名は……、
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