暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜Hero of the sorrow〜
終局。
終わりの始まり。 絶望は絶望へ。 ここより先は、『正義』を問う。
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「――――――――――あ」

 男は一人、拳を握る。哀しみに呑まれながらも拳を振るう。振り続けて肉が擦り減り、血が出ても。骨をも削り続けても。この体は、風を吹かし続け、人々を守り続ける、その肉体だけは。絶対に、壊れることはなかった。

 そう、絶対に−――――――――――肉体(カラダ)()()()。それを動かす中核――――――――魂は、心は、無限の戦いの中で、無事では済まない。

「・・・・・・僕は、『せいぎのみかた』になりたかったのに・・・・・・」

 感謝される気はなかった。ただ、救えれば良かった。ただ周りを救えればいいと。英雄になんて、興味は無かった――――――――――!

 だがそんなことは、世界は知らない。英雄に興味がなくても、英雄に『憧れ』を抱いた時点で、世界を救うために死んでしまった時点で、いや・・・・・・『感情』というモノを持ってしまった時点で。

 彼は、既に詰んでいた。




 暗闇真は唖然とする。その、目の前の光景に。

 今日の朝、神から連絡があった。とてつもない『禍』が、姿を見せると。事実、それは起こり、この町で既に多数の死傷者を出した。

 死傷者と言っても、死体はない。なぜならば、それは大きな口と体を持って、死体を丸ごと喰い尽くしていたからだ。

 それが目の前にいる。口から誰かの手が見えた。それが呑み込まれると、『禍』は真に興味を示さず、目の前にいるそれを見た。

「あ」

 少女がいた。ガタガタと震える少女が。暗闇真は少女の『絶望』の瞬間を見る。だが、彼はそれを止めようとする。なぜならば、彼は『正義の味方』だから―――――――

「変身!」


 仮面ライダー鎧武・闇。そう、彼は悪のライダー。悪でありながら、正義の味方。矛盾した正義の味方が、人を救わんと加速する。

「助けに入るのが遅いな。さっさと変身とやらをすればいいのに」


 空中からの声。気付けば目の前の『禍』は、頭部から剣に貫かれ、あらゆる場所から剣が生えつづけ、全身から血を撒き散らして絶命した。

 少女は男に守られていた。気絶しているようだが、全身に大きな傷はない。一安心して、無双セイバーを収めようとした時。

 全身が悲鳴を上げた。痛い。苦しい。怖い。逃げたい。どこか遠くへ、誰にも見つからない場所へ。逃げたい。

 そしてそれは目の前にいる男が発しているものだというのがすぐにわかった。
 スーツに革のブーツ。そして額ではなく、両目を覆い隠すようにまかれた黒い帯。スーツに隠れてはいるが、その体が鍛え上げられているのは、よくわかった。

「貴様が暗闇真で間違えないな」
 暗闇真は無言だった。ただ無双セイバーを構えるだけ。
「無言は肯定と受け取ろう
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