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若返り
5部分:第五章
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第五章

「日本を正しき姿に導くのだ」
「はい、それでは」
「これからも」
 こうしてであった。二人は明王の言葉に頷いてであった。それからも世の為人の為に働いた。それはこの日もであった。
「さあ、皆さん」
「頑張って街を奇麗にしましょう」
 二人は箒やちりとりを手に街にいた。そのうえで周りの人達に声をかけていた。
「まずはお掃除からです」
「真面目にしましょう」
「はい、わかりました」
「まずは掃除からですね」
 あのコンビニの不良達だった。彼等は更正し今では真面目に学校で勉強しそのうえで二人に従い掃除や成敗にあたっているのだ。
「じゃあ俺達もやらせてもらいます」
「是非」
「頑張ろうね」
「うん」
 いじめっ子達やいじめられっ子達もいた。彼等もであった。
「頑張って街を奇麗にね」
「そうしてね」
「皆で力を合わせればそれだけ奇麗になります」
「ですから」
 また言う二人だった。
「奇麗にしましょう」
「皆で」
「はい、わかりました」
「それでは」
 こうしてであった。皆二人を中心として街を掃除し奇麗にするのだった。それが日本中で行われ日本自体が奇麗になっていた。
 そしてそれを見ている明王は満足した顔になっていた。そのうえで言うのであった。
「よい、これでいいのじゃ」
「はい、そうですね」
「確かにこれで」
「正しき志を持つ者は立ち上がるべき」
 彼は自分の後ろにいる八人の童子達に対して話した。
「それでこそだ」
「はい、そうです」
「その通りです」
 童子達も明王の言葉に頷く。彼等もまた悪を憎む者達なのだ。
「しかし若返えさせるとは」
「思い切ったことをしますね」
「立ち上がるべき者が立ち上がれないのならばだ」
「その場合はですか」
「そうされるというのですね」
「そうだ。我等が手助けをしなければならない」
 まさにそうだというのだ。
「だからこそだ。ああしたのだ」
「成程」
「それでなのですか」
「そうだ。人を正すのは人」
 彼はまた言った。
「我等も然りだがそれは人がするのが最もいい」
「わかりました。それでは」
「明王様の御心、しかと受け取りました」
 童子達は彼のその言葉をありのまま受けた。
「ではこれで日本は」
「よくなっていくのですね」
「少なくともこれまでよりはかなりよくなる」 
 そうだというのである。
「悪を浄化するのは人でなければならない」
 また言う彼だった。
「本来は。ではこれからもだ」
「そうですね。これからも」
「その手助けをしていきましょう」  
 明王の顔は相変わらず恐ろしい。だがその言葉も目も温かいものだった。彼はそうして日本が若返った老人達によってよくなっていくのを見守るのであった。


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