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ソードアート・オンライン -Need For Bullet-
-Bullet5-水色のスナイパーと灰色の風
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強く言おうとして、目の前につきつけられたものを見て私は動けなくなった。100円ショップで売っているようなチープな拳銃おおもちゃ。小さな子供が持っているような、脅しには普通は何も効果のない物は私の動きを止めた。周りの喧騒が遠くなり、景色の色が薄れ、あの時の音が、景色が、匂いが蘇ってくる。
グニャリと景色が歪む
足に力が入らない。自分が立っているのか倒れているのか、座っているのかさえもわからなくなっていく。
赤い
赤い
鉄の臭い
私の手は‥‥赤黒い何かで染まっている。周りもすべて。
悲鳴。恐怖。
「……乃…………詩乃……詩乃!」
私の体はさっきまでのドロドロとした生暖かいものではない、しっかりとした優しい暖かさに抱きしめられた。
「大丈夫。大丈夫だよ。もう大丈夫。」
ゆっくりと周りの音がもどってくる。人々の喧騒、リズムよく音色を奏でるエンジンの音。そして路地裏の景色。そして自分を抱きしめている
ミウラ
(
古川 真琴
)
の匂い。温かい世界がもどってくる。
「ありがとう。真琴。もう大丈夫。」
「本当に?」
心配そうに顔をのぞき込んでくる真琴んk私は今できるかぎりの笑顔を返す。
「大丈夫。ありがとう。」
私は強くならなければならない。《あの事件》を乗り越え、シノンのように強い私にならなければ。
「……無理しちゃダメだよ。 どうする? お昼やめとく?」
「ううん。行く。‥‥そういえば遠藤達は‥‥?」
「んーとね。どっか行った。」
「そう‥‥」
「よし。行こうかシノノン! 早く後ろに乗るんだ〜。新川君待ってるよ〜」
「うん。にしてもバイクで繰るなら言ってよ。あとこっちでシノノンはやめて。」
真琴の差し出すヘルメットを被り、彼女のバイクに跨がる。彼女の背中から伝わってくる体温と、4気筒エンジン少し荒々しい音が心地よかった。
私はもっと強くならなきゃいけない。《あの事件》を乗り越えるんだ。
それはまだ夏の暑さが残る土曜日の午後だった。詩乃は母親と一緒に近所の小さな郵便局へと来ていた。母親が用事を済ませている間、詩乃は図書館で借りた本を読んで待っていた。そこで事件は起こった。男が一人入ってきて、カウンターにいた詩乃の母親を突き飛ばしこう言った。
「このかばんに金を詰めろ」と。男は異常な様子で拳銃を振り回しまずカウンターにいた一人の職員を撃った。そして次に一番近くにいた客、つまり突き飛ばされ固まっていた詩乃の母親に銃口を向けた。詩乃が幼い頃に事故で夫を亡くし、心に傷を負っていた母を自分が守ると、そう決心していた詩乃は思わず身体が動いた。強盗犯に飛びかかり噛み付いたのだ。突然の反撃に思わず拳銃ー中国製コピートカレフ、通称黒星ーを犯人は取り落としてしまう。そしてそれは偶然にも振り払われ
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