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若き禿の悩み
6部分:第六章
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れでもそんなこと言うなんてな」
「往生際の悪い奴だよ」
 皆生暖かい笑みになっていた。
「それでも頑張るんなら頑張るんだな」
「髪の毛のことな」
「精々な」
「絶対に諦めないからな」
 幸三も意固地になっていた。
「俺は絶対にな」
 こう誓った十七の時だった。そして数年後彼はとある寺の住職に迎えられていた。その頭には髪の毛が一本もなかった。ただしそれは剃ったものではなかった。その必要がないようになっていたのである。


若き禿の悩み   完


                2010・4・30

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