それでも歌い続ける
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で以上に感情をいれるようになってきたんだよ。誰に伝えたい?聞いてくれた人?世界中の人?歌を知らない人?・・・・ケイトだよ。一番はケイトなんだって。」
そうか。
パーカーが普段。俺に必死になって、しつこくして、歌について細かく言っていたのはそれだったのか。俺は前に、「音痴の歌は聴きたくないのが普通」なんて言ってしまった。そうじゃなかったのか。
なんだろう。とても言葉じゃ表せない気持ちになってきた。すごくドキドキしていて、言葉が詰まるのに、思考は停止せずに動き続けて。単語と文がたくさん出てくる。
再び、さっきの曲が流れた。
パーカーが歌い始めたのに気づいた。・・・・出会ったときと違う。もう、違う。今にも泣きそうな表情をして歌うパーカー。サビ部分で少し明るめの表情をして歌うパーカー。その全部が、まるであったかのように。見たこともない情景が浮かんだ。これがパーカーのいう大切なこと。これが・・・・本当の歌。
最後のサビ前の息づかいも再現して。
あとは、自分なりに、自分が伝えたい言葉を丁寧に歌い。それから俺は歌の練習をして、声を入れて歌うことになった。歌詞をよく思い出して。これを伝えようとした、パーカーの気持ちになって。そして、俺が伝えたい気持ちを考えて。
・・・・自然と感情がわいてきた。下手でもいい。何言われたって気にしない。ただ、誰かのために伝えたい。そんな俺たちの気持ちは、この曲にぴったりだった。
俺たちの思いは重なり、声となり、歌となり、しっかり歌におさまった。初めてできた一つの曲。それは、俺たちのものではないけど、俺たちの曲と言っても間違えではない気もした。
「ケイト!」
自分の名前を呼ばれて我に返った。気がつけば歌い終わっていたことに気づく。「お疲れ様!」というパーカーの声。顔を見るととても楽しそうな顔。
「良かったと思う!あとは編集して、あげるだけさ!」
「そっか。」
俺がそう返すと、急に俺の顔を伺って「・・・・これからもさ、一緒に歌ってくれるよね?」と聞いた。
「当たり前だろ。今更やめねーよ。」
・・・・そう。
この気持ちは、もう誰にも止められない。だから、何があってもやめない。例え、俺達が批判されて叩かれても。決めたんだ。
・・・・それでも・・・・歌い続けるって。
パーカーがいるから。パーカーのために。
・・・・俺らしくない考えも、新たな俺だと認めて。
なるべく素直になって。
歌を響かせるんだ。
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