守られるよりも共に戦いたくて
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で構いやせんね?」
「……嗚呼。寧ろその方が助かる」
頷いた気配と共に背中に腕が回されて抱き返される。土方さんの腕は俺の身体をすっぽりと包み込んで、抱き締めているのは俺なのに抱き締められている気がしてやっぱり少しだけ悔しい。でもそれ以上に、土方さんの愛情がひしひしと伝わってきた。
「お前の先祖、数代前の当主にお前と同姓同名の奴がいたのはお前も知ってるな?」
「あー……確か九代目当主、俺が生まれるまでは沖田家最強の剣士の座を誇ってたって言う?」
「そうだ。そんだけ知ってりゃ何の問題もねェな」
問題? と俺が問いかける間もなく土方さんは話を続ける。
「つい最近確信した事だが、その九代目当主がーー多分、昔のお前だ、総悟」
あまりにぶっ飛んだ発言に、俺の頭は思考停止した。
昔の俺? 土方さんは何を言ってんだ? 俺は内容を一つも理解できないまま土方さんの話に耳を傾ける。
「顔、名前、言葉遣い、剣筋、癖、好きなもん、嫌いなもん……確信した理由はあり余る程にある。お前だってそんなにロマンチストじゃねェ、最近まで生まれ変わりなんざちっとも信じてなかった」
「……じゃあ何で?」
「そりゃお前があまりにも“総悟”に似てたからだ。偶然だけじゃ説明できねェくらいにな……何より、お前は俺に好きだと……俺が欲しい、そう言ったからだ」
土方さんが呼ぶ俺の名前が俺の名前じゃない気がして、少し不愉快な気分に陥る。土方さんは俺の姿に九代目当主を重ねているのか。だから受け入れたのか。
そんな風な疑問とどうしようもない切なさを覚えて抱き締める力を強くすると、腕の中で土方さんが息を飲むのが分かった。苦しかったのかもしれない。だが抵抗もなく、また力を緩める気にもなれなかった。
「覚えちゃいねーだろーが、俺にそんな事言ったのはお前と九代目だけだ。俺を使いこなしたのも、お前と九代目だけだ。まあ俺の主になったのは三人しかいねーがな」
土方さんの声が遠くに聞こえる。土方さんがそんな事する筈がないのに、比べられた気がして更に不愉快だった。
切ない、悲しい、苦しいーーこんな感情、俺は知らねェ。
「九代目は、“総悟”は約先年前、俺を欲しがる奴らから俺を守るために俺を蔵に封じて……多分、死んだ。それも、たった一人で」
「……ッ」
「お前は恐らく“総悟”に一番近い親族の子孫に当たるんだろうな。彼奴に子供はいなかったから」
土方さんはそう言って俺の肩口に顔を埋める。
「総悟、勘違いするなよ。俺はきっと、お前がたとえ九代目じゃなくてもお前を好きになってた。九代目に会ってなくてもだ、其処は勘違いされちゃ困る。絶対に身代わりなんかじゃねェ」
肩口がやたらに熱い。きっと土方さんが赤面してるんだろう。そう思
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