百二 巫女の予言
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君麻呂の説明を受けて、足穂はようやくじろじろ眺めるのを止めた。
恥じ入ったように視線を逸らした後、すぐさま己の主の許へ向かう。巫女の無事な姿に安堵の吐息をついた足穂へ、ナルトは聊か強い口調で進言した。
「即刻、現在この建物にいる兵士全員を避難させてください。負傷した者達には治療を…。今ならまだ間に合います」
「しかし…我々には紫苑様を御守りするという義務が…」
「…これ以上、犠牲者を出したくはないでしょう」
ナルトの有無を言わさぬ声音に促され、足穂は渋々頷いた。
確かに今の襲撃で兵士達が幾人も負傷している。だが今すぐ治療にかかれば、何人かは助かるかもしれない。それに救援の忍び達が不届き者たるあの四人衆と交戦するならば、兵士達は逆に足手纏いになる可能性が高い。ならば、ナルトの言う通り避難させたほうが良策だろう。
足穂は荒れ果てた室内を見渡す。敵の襲撃で崩された母屋。その天井に押し潰されてしまった兵士達は、何時の間にかナルトの手によって抜け出せていた。幸運な事に全員息がある。
(あの細腕で、どうやって助け出せたのか…)
足穂はナルトを見遣った。何やら手から青白い光を負傷した兵士達に注いでいる彼は、寸前の的確な指示と言い、とてもまだ子どもには見えない。それでも外見はやはり少年そのもので、足穂は素直に感服した。
ナルトの医療忍術で治癒された兵士達の一人が目を覚ましたので、足穂は彼らに避難及び負傷者の治療等の指示を下す。その手際もまた、見事なものだったのだが、誠実な人柄故、足穂は自分では気づいていないようだった。
自らのすべき事をテキパキとこなした足穂がナルトに向き直る。それを見計らって、ナルトは口を開いた。
「何処か、人目につかない場所はありますか?」
館前の前庭。
その大きな広場へ降り立った四人は、追い駆けて来た白と君麻呂を見下すように嘲笑った。
「たった二人で、何が出来る?」
「あちき達に勝てると思ってるんでありんすか〜?」
セツナとギタイの嘲笑を受けても、白と君麻呂は顔色一つ変えない。依然として涼しげな顔をする少年達をシズクは気味悪げに眺めた。そしてなんとなく思った事をそのまま口にする。
その問い掛けは二人の涼しい顔を崩すのに、効果覿面だった。
「な〜んか似たような雰囲気だけど、兄弟かなんか?」
「「誰がこんな奴とッ!!」」
シズクの質問に反応した白と君麻呂は、寸前とは打って変わって感情を表に出していた。嫌悪感を露に互いを睨み合う二人に、四人衆は戸惑い気味に顔を見合わせる。
ややあって、気を取り直したクスナがギタイに眼で合図した。直後、地を蹴る。
クスナの指示に従い、拳を大きく振り被ったギタイがその怪力を以って、白と君麻呂に襲い
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