第3章 リーザス陥落
第86話 一騎打ち
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彼女の翅を穿ったのだ。
「ふぇ、フェリスさん! それに、カスミ!!」
マリアが叫ぶが、フェリスの落下は止まらない。
そして、その場所もトーマの完全な間合い。手が出せないのだ。
「これで、《砲》やらいう飛び道具。そして、人外である悪魔の使役、それらは使えまい――ここまでだ、リーザスの解放軍どもよ!」
高らかに戦鎚を掲げるトーマ。
士気も最高潮だった。
トーマは、天を仰いだ。
そして、ニヤリ、と嗤うと。
「今日は、死ぬにはいい日だ……!」
そう、ポツリと呟いたその時だった。
突如、トーマの前に、1本の剣が落ちてきた。
いや、違う。……落ちてきた、と言うよりは、飛来し、突き刺さった、と言う表現が正しいだろう。 ざしゅっ! と言う音がしたと思ったその時だ。
落下するフェリスを受け止める者がいた。いつの間にか、トーマの前に立つ者がいたのだ。
「………………」
風に靡く漆黒の髪。
そして、纏うは暗黒とも呼べる殺気の塊、《煉獄》
大地に突き刺した影響で、発生した砂埃がやがて消え、その姿を完全に捉えることができたと同時にだった。
トーマのその地の底から響いてくるかの様な豪快ともされる声量に負けない程の轟音が、周囲に迸る。
『お前らァァ!! これ以上手を出すな!!!!!』
轟ッ!! と空気の壁、いや違う声の壁が、周囲にいる兵士たち全員の耳を叩いた。
さしのトーマも言っている意味が判らなかった。
だが、その目にも見えない程の速度で、気づかない間に割り込んできた男の姿を見て、トーマは、冷静に、慎重になった様だ
その声は、勢いづくヘルマンの騎士達を、そして リーザスの解放軍の動きも止めた。
「志津香、フェリスを頼む」
受け止めたフェリスを、すぐそばにまで駆けつけていた志津香に託した。
フェリスは、気を失っている様だが、生命に別状は無さそうなのは、見て判った。翅にかなりの傷、そして 魔法を放つ為に、手を突き出していたからだろう、両の手にもひどい傷を受けてはいたが、頭部、胴体部は比較的無傷だったからだ。
「ゆ、ゆぅ……?」
志津香は、ゆっくりと男の名を呼んだ。
そう――男の名は、ユーリ・ローランド。
目のもとまらぬ速度で、トーマに、……人類最強の男の前に立ったのだった。
フェリスを志津香に託すと、ユーリは、トーマの目を見据えて、言った。
「――……此処からは、無駄な犠牲を出したくはない。……だから、一騎打ちだ、トーマ」
両手に迸らせるのは、煉獄の気。
そして、両手に剣を持ち、構えるのは、ユー
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