6部分:第六章
[8]前話
第六章
「今度改装を考えてるしね」
「それでか」
「お店の内装がそろそろ古くなってきたし」
「そういえばそうか」
「そうよ。だからね」
店のことはひかるがやっている。だからこう言うのである。
「わかったわね」
「わかったさ。それじゃあな」
「そういうこと。お金は溜め込めるものじゃないのよ」
「使う為にあるのか」
「その通り。使う時に使うのよ」
完全に資本主義の言葉である。しっかりとしている。
「そういうことだから」
「そっちのことはわからないんだがな」
「私に任せておいて。しっかりとするから」
「わかった。そっちはな」
「お金があったらあったらで色々とすることがあるからね」
「俺の小遣いは増えないか」
「増えるわよ」
それを聞いてだ。連は少しほっとした。ところがであった。
「今お給料二十二万よね」
「ああ」
「一万円アップね」
「それだけか」
「私は二十万で五千円アップよ」
ひかるは自分のことも話した。
「それで売り上げはね」
「全部店の改装にか」
「他にも色々と使うけれどね」
「本当に使うんだな」
「その通りよ。言っておくけれど私がネコババとかはないから」
このことも断るのだった。
「営業に使うから」
「それも工夫か」
「そうよ、工夫よ」
まさにその通りだというのである。
「そういうことだから」
「何か本当に大変だな」
連は今は首を捻るだけだった。しかしそれでもだ。店の経営というものが考えようによっては菓子を作ることよりも大変だとわかったのである。
それでだ。こうも告げた。
「これも工夫か」
「そうよ、工夫よ」
「工夫は菓子作るだけじゃないんだな」
「それだけで済んだら楽だって思わない?」
「俺はそれだけで大変だけれどな」
「ところが世の中はそうじゃないの」
小柄な身体を伸ばして兄を見上げて言う言葉だ。
「こうした努力も必要なのよ」
「だから御前がいるんだな」
「そう。これからも御願いね」
「ああ、わかった」
こう話してだった。二人で話すのだった。
それから店の売り上げはさらにあがった。売り上げは店の改装にかなり回された。それによって店はさらに客の入りをよくした。連だけではここまで至らなかった。世の中はどうやら菓子を作る腕だけでは難しいようだ。
スイーツの工夫 完
2010・8・6
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ