3部分:第三章
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第三章
「味じゃない。一番大事なのは」
「それはわかっているけれどな」
「わかっていたらすぐによ。考えてやってみてよ」
「俺がいつも言ってるみたいにか」
「そう、やってみる」
今度の言葉は単刀直入だった。
「それでいいわよね」
「わかった。じゃあな」
「具体的にどうするの?」
「まずは赤だ」
最初はその色だった。
「赤には苺だ」
「それを使うのね」
「チョコと苺の組み合わせはよくあるよな」
この組み合わせは洋菓子ではオーソドックスだ。彼にしても非常によく使う。言うならばよく慣れただ。そうした組み合わせであった。
「それでいく」
「それで次は?」
「青はブルーハワイだな」
「アイス系なのね」
「それでどうだ」
「いいんじゃない?」
ひかるはその提案をよしとした。
「それで」
「そうだな。それじゃあな」
「行くぞ。黄色はバナナ、それで紫はな」
「紫は?」
「ブルーベリーかプルーンだ」
「そこまではいいわ」
ここでだ。ひかるはまた話した。
「緑が問題ね」
「それはどうするかだな」
「緑。葉の系統になるけれど」
「それでいくか」
あれこれ考えていく。そのうえで研究していく。それは細かく進んでいく。だがそれでもだ。道は険しく難航していた。
それでも何とか味ができてきた。その外見もだ。
「色はいいんじゃない?何使ったの?」
「食材の着色料を使った」
「自然のままでいったのね」
「それが味を一番活かせると思ったからな」
「それでその組み合わせる食材も入れるのね」
「そうだ」
こうひかるに答える。
「そうしている」
「どれどれ。それじゃあ」
ひかるは兄が実際に作ったそれを食べてみる。赤いチョコケーキだ。その味は。
「どうだ?」
「いい感じじゃない」
すぐに答える彼女だった。
「この味。チョコと苺の味が合わさって」
「そうだろ。成功だな」
「成功よ。青は」
そのブルーベリーのアイスはだ。どうかというとだ。
「チョコとブルーベリーって難しいって思ったけれど」
「合わせるのに苦労した」
実際に彼もだというのだった。
「けれどな」
「できたのね」
「できた」
今の返答は一言だった。
「だから試食してくれ」
「言われなくてもね」
それはだった。言われるより先にだった。ひかるは実際に食べた。
そしてそのうえでだ。彼女は兄に答えた。
「いいわよ、これも」
「そうか」
「アイスってのがいいわね」
ひかるがいいと言うのはこのことだった。
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