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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百九十一話 産みの苦しみ
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……」
グライフス大将が驚いている。お母様は元はブラウンシュバイク公爵夫人、反逆者の配偶者だった。本来なら皇位等という話は有り得ない。私も未だに信じられずにいる。
「本当なのですな?」
「ええ、本当です」
大将が深々と息を吐いた。
「来年、フェザーンに遷都しますがその後、退位されお姉様に皇位をというのが陛下のお考えでした。聞いたのは私達姉妹とリヒテンラーデ侯です。その場では結論は出ませんでした。陛下はヴァレンシュタイン元帥にも相談するようにと……」
皇位継承問題に元帥を加える。御爺様のヴァレンシュタイン元帥に対する信頼は非常に厚い。
「それで、元帥は?」
「時期尚早……。最低でも憲法発布までは退位は為されるべきではないと。リヒテンラーデ侯も同意見でした」
叔母様の答にグライフス大将が頷いた。
「そうですね、これからしばらくは同盟領内で混乱が生じるでしょう。帝国にも影響が出る筈です。時期尚早というのは間違っていないと小官も思います。御不満ですか?」
「いいえ、そんな事は有りません」
お母様が首を横に振って否定すると大将が安心したように小さく息を吐いた。もしかするとお母様が皇位を望んでいる、現状を不満に思っていると危惧したのかもしれない。でもそれは無い、お母様も叔母様も権力の恐ろしさをあの内乱で嫌という程理解した。それは私とサビーネも同じ。
「ですが立太子は避けられません。帝国の政治に関わらざるを得ないと考えています」
「なるほど。……小官に侍従武官を勧めるのはアマーリエ様を助けよと?」
「そうです。迷惑かもしれませんが受けて欲しいのです」
「信じられませんか? 今の政治家達が?」
大将の問い掛けにお母様と叔母様が顔を見合わせた。
「そうでは有りません。ただ……」
「……ただ?」
お母様が溜息を吐いた。
「私達は一度反逆者になりました。その事は忘れる事は出来ません。そうでしょう、クリスティーネ」
「ええ、私達は二度と間違う事は出来ない。信頼出来る人物に傍にいて欲しいと思います」
お母様と叔母様の表情は暗い。私達は父と叔父の事を恥じてはいない。それでも父と叔父が反逆者、私達はその家族という過去は重く圧し掛かっている。
「他に信頼出来る方は居ないのですか? アンスバッハ、シュトライト、フェルナーは如何しました? ブラウラー、ガームリヒは?」
「皆、それぞれ場所を得て仕事をしています。何かと私達を気遣ってくれますが……、常に傍にいるという訳では有りません」
グライフス大将が“なるほど”と頷いた。
「元帥が小官に侍従武官をと言ったのは皆様方の事を考えての事かもしれませんね。……私の役割は皆様方の相談役になる事。そして政府の方々と皆様方の潤滑油になる事。それで宜しいでしょうか?」
「勿
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