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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百九十一話  産みの苦しみ
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け決別を宣言するわけだ。そしてフリードリヒ四世を新たな王朝の始祖とし大帝と呼んで尊崇する。いわば新王朝成立、或いは王朝交代宣言だな。

となると来年、新年の祝賀に会わせて新王朝成立を宣言するのがベストか。暦を来年から新しくする事の根拠にもなる。その半年後にフェザーン遷都で新帝国成立宣言を行う。始祖であるフリードリヒ四世の引退は当分無理だな。リヒテンラーデ侯に相談してみるか。フリードリヒ四世、皇女方にも話す必要が有る。如何なるかな、頭が痛いわ……。



帝国暦 490年 10月 31日      オーディン  新無憂宮  エリザベート・フォン・ゴールデンバウム



「心配していました。何時かは会える日が来るとは思っていましたが」
「御心配をおかけしました事、御詫び申し上げます。そして何の御役に立てずにブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯を皆様から奪う事なってしまいました。申し訳ありません」
グライフス大将が頭を下げるとお母様、叔母様も首を横に振った。

「そんな事は有りません。大将には感謝しています。貴方が逃げてくれたから娘もエリザベートも無事でした。ブラウンシュバイク公からの依頼とはいえ苦しかったでしょう」
「妹の言う通りです。夫は貴方に詫びておいて欲しいと皆に頼んだそうです。本当に感謝しています」
お母様達、そして私とサビーネがグライフス大将に謝意を述べると今度は大将が首を横に振った。

「とんでもありません。小官は貴族連合軍の総司令官にしていただきながら勝つ事が出来ませんでした。御信頼に応えられなかった私に唯一出来る事を命じて頂いた事、公には感謝しております」
あの内乱の事は今でも夢に見る事が有る。叔父上が戦死した時の混乱、お父様の“来てはならん”の言葉、そして去ってゆく後ろ姿……。二度とお父様を見る事は無かった。あれが最後の姿……。

「そして今こうして皆様にお会いしてあの時の公の御命令が正しかったのだと改めて確信しました。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯の墓前で良い報告が出来ます」
グライフス大将の口調はしみじみとしたものだった。私達を優しそうな目で見ている。胸が暖かくなった。お母様も叔母様もそしてサビーネも眼が潤んでいる。

「この後は如何なさるのです。決まっているのですか?」
叔母様が問い掛けるとグライフス大将がちょっと困った様な表情をした。
「侍従武官は如何かとヴァレンシュタイン元帥から打診を受けています。ただ私の様な反乱に加わった者が宮中奥深くに居ても良いものか……。正直迷っております」
お母様と叔母様が顔を見合わせ頷いた。

「受けて頂けませんか?」
「アマーリエ様……」
「実は陛下が退位を考えていらっしゃいます」
「なんと……」
「そして後を私にと」
「それは
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