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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百九十一話 産みの苦しみ
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せない。しかし学問の対象としては批判しても構わない。ルドルフは賢くなかったと言って貰って構わないんだ。
フリードリヒ四世は劣悪遺伝子排除法を廃法にした。治安維持局は廃止されかつて不当に逮捕され罪人にされた人達の名誉回復も行われている。つまりルドルフは間違っていたと帝国は認めたんだ。帝国は古い殻を脱ぎ捨て新しい国家に生まれ変わろうとしている。新しい皮に古い酒を入れるんじゃない、新しい酒を入れようというんだ。そこには自由惑星同盟という酒精分も入れると言っているんだが……。何で見つからない? 溜息が出そうだ。
やっぱり原作と違って王朝交代が無いから新帝国という概念が浸透しないのかな。ゴールデンバウム王朝の始祖はルドルフだ。ゴールデンバウム王朝が続く限りどうしても神聖視せざるを得ない部分は有る。しかし旧帝国と新帝国は別物と考えるべきだ。王朝交代なき国家の交代。ルドルフは旧帝国の始祖であり新帝国の始祖ではない。新帝国の始祖はフリードリヒ四世だ。そこを理解させる必要が有る。……有った、有った。資料はカバンの中だった。入れたのを忘れていた。
「さて、行きましょうか?」
「はい」
俺が席を立つとヴァレリーが後に続いた。廊下を歩いているとヴァレリーが“閣下”と話しかけてきた。何だ? さっきの件か?
「帝国では将官になると研修が有るのですか?」
「ああ、それですか。そう言えば有りましたね」
ヴァレリーが妙な表情をした。
「閣下がそのような研修を受けられたような記憶は無いのですが……」
そうか、ヴァレリーが副官になったのは俺が准将になった時だったな。そのヴァレリーが今は准将か。月日が流れるのは速いな。
「私は免除されました。当時宇宙艦隊司令部の作戦参謀でしたからね。出兵も迫っていた。任務優先で許されたのですよ」
「なるほど」
ウンウンと頷いている。
「研修、頑張ってください」
「はい、有難うございます」
安心しろ。宇宙艦隊司令長官の副官を落とす様な阿呆は居ないよ。ごく普通の成績を取れば問題は無い、合格する。それにしても俺って将官の研修は受けてないし艦隊司令官の研修も受けていない。特例中の特例だな。あんまり嬉しくない。気分を切り替えよう。
やはり新帝国設立宣言だな。その中で新帝国は旧帝国とは別物で始祖はフリードリヒ四世であると強調する必要が有る。或いはルドルフの愚行を否定し謝罪するという手も有るな。難しいかな? ゴールデンバウム王朝の始祖の否定、一つ間違えると王朝そのものの否定になりかねん。そこまで同盟に配慮する必要が有るのかという批判が出るのは間違いない……。
ルドルフに代わる権威を作り出すのが先か。フリードリヒ四世を新たに始祖とする新ゴールデンバウム王朝の成立を宣言する。これまでの王朝を旧ゴールデンバウム王朝と名付
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