31話 奇蹟 3.6
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時間が足りなすぎる」
「分かりました」
その3人も眼前から消えて、今度は何もない白い空間にサードは立っていた。
「(・・なんだここは・・・)」
サードの記憶がその次に起こる最悪な出来事を肌で感じ恐怖に晒された。
真っすぐ見据えると、そこにはガラス越しにムラサメと呼ばれた研究者とサードのかつての2人の部下がそこに居た。
「君には刺激が必要らしい。催眠下での覚醒を本研究所では最善としている。その上で君は余りに洗脳しずらい。君にショックを与えることにした」
かつての部下2人は両手を縛られて椅子に座らされていた。
何か薬で眠らされているようだった。
「君は大事なものを失った事があるかね?とてもショックだろう。それを目の前で見るのと見ないとでは感覚が違う。君はそれを何も出来ず成す術もなく、ただ見るだけ。そんな状況を常人は平然としてはいれないだろう」
ムラサメの手に銃が有った。サードは急ぎその窓へ走り寄り、力強く叩いた。しかし分厚い強化ガラスでその振動が部屋に響くことはなかった。
「この者達で君が次のステージへ進むことができるんだよ。この2人に感謝して欲しい」
そこでサードの目の前が暗闇になった。サードは絶望していた。漆黒の空間に独り浮いていた。
「(・・・何もない・・・。何をしているんだ。いや、何もすることが無い・・・)」
サードは殻に閉じこもる、決して開けることのできない殻に閉じ込められていた。
「(何もできなかった。オレは何も・・・。あの時も投降するしかなかった。その後も民間に戻る機会もあったが、どこかで驕りがあった。まだオレは違う方法で軍人としてやれると。ティターンズでもそれを変えていけると・・・)」
しかし自分の選択が大事なものを失うことになってしまった。最早自分の選択に自信を失っていた。そこに何故か今まで見たことない青白い光が彼に指していた。それは彼にとって故事のクモの糸ような代物だった。
「(君は、大丈夫だ。人は間違いながらも修正しては成長していくものだ)」
その声にサードは反応した。自分がまだ生きても良いとその光が言っている。蝕んで病んだ心は活力を出すにはとても難しかった。その一筋の光から新たに光が飛び込んできた。
「ユウ隊長。ここで終わってどうするのよ。オレらはお前の守りたい意思、軍人としての気概を誇りに思っているぞ」
実体がないフィリップの声がサードの周囲より聞こえた。続けてサマナの声も聞こえる。
「隊長・・・僕は余りお役に立てなかったけど、貴方がここで立ち止まっていることにクレームを言いに来ました。僕は命を掛けました。貴方がそこで立ち止まる理由、納得できる事を言ってください!ないでしょ?なら、行かなきゃ」
サードの肩に幻影なが
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