冴島 大河
第一章 刑期中の悲報
第二話 大阪
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
翌日、冴島は真島と共に新幹線に乗っていた。
何だか久しぶりの感覚に思わず違和感を覚えるが、隣の真島はそんな場合ではない様子。
窓の外を眺め、ぼーっとしていた。
真島にとって桐生とは、かけがえのないライバルであり、親友でもあった。
冴島とはまた違ったその存在のおかげで、東城会という堅苦しい場所にいても耐えることができた。
自由が大好きな真島にとって、縛られるものは苦手。
1度は退いた東城会も、桐生の頼みで戻っただけ。
そんな桐生が死んだ。
そんな訃報、信じられない。
信じたくない。
真島はまた、大きくため息をつく。
「元気無いやないか、兄弟」
「阿呆、桐生ちゃんが死んだって聞いて元気でおれるワケないやろ」
それもそうだ。
真島も冴島も、互いに同じ気持ちなのだ。
「ところで、真っ直ぐ神室町向かうんか?」
「いや、まず大阪行こう思っとんねん」
「大阪?何でまた?」
「……今の東城会を、少し話しとくべきやな」
冴島は勿論、何も知らない。
半年前に刑務所から1度出たとはいえ、その半年分何が起こったのかわからない。
1度教えておいた方がいいと考え、真島は声を潜ませる。
「今、東城会は内部分裂しとる。正確には、7代目の座を狙って幹部が数人分裂しとるだけやけど」
「7代目……ということは、6代目が今ピンチやっちゅう事か」
真島は小さく頷くが、冴島はどうも気掛かりな事があった。
「ほんなら、何でお前は6代目ほって桐生捜しとんや?」
「……もし生きとったら、絶対6代目殺すための餌にされる。桐生ちゃんに会いたいのも捜す理由やけど、ワシは6代目も護りたいんや」
その言葉に、思わず鼻で笑ってしまう。
ムッとした表情の真島に、冴島は首を横に振った。
「お前、変わったな」
「あぁ?」
「ちゃんと6代目護ろうとしてるとこが、なんか昔と変わったなぁって思ってな」
図星だったのか、真島はムスッとした顔でまた窓の外を眺める。
それと同時に、電車のアナウンスが流れた。
大阪に到着した、合図だ。
「降りるで、兄弟」
「お、冴島も本気になったか?」
「俺は最初から本気や。行くで」
さらにそこから乗り継ぎ、やってきたのは大阪の中心街である蒼天堀だった。
今は昼間だから分からないが、夜になればネオンが煌めき神室町に負けない活気を見せる。
夏休みの為、この時間でも余計人が多く感じた。
「幹部捜すったって、見当はついとんのか?」
「ワシを誰やと思っとんねん。そんなん、今から探すに決まっとるやろ!」
いつも通りの真島。
思わず冴島は、大きくため息ついた。
捜すと言っても、この街は広い。
大通りだけな
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ