カミテにいる女
六本目
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なっちゃったの?霊感…れ、霊が見えるようになっちゃったの!?」
「いや、むしろ今まで無事だったことの方が驚きなんだけど…」
「ええ!?」
「日紅みたいな、優しくて、純真で、すぐ同情してくれるようなカモ、霊が放っとくわけ無いと思うんだけれど」
「カモ!?酷い!」
「事実だよ」
青山は特段悲しがるわけでも、嬉しがるわけでも無く淡々とそう言った。それが、本当に脅しでも何でもなく、ただの事実を述べているだけだと、日紅は心の臓を鷲づかみにされるような心地がした。
「日紅。僕が側にいる限り、君のことは守る。だけど、そうもいかないこともある。日紅自身がちゃんと認識して、警戒してくれ。お願いだから」
「あ、は、はい努力します…」
その返事を聞いて、青山は、はー…と頭を抱えた。善処すると言っているのになぜこんなに信じていない風なのかと日紅はすこしむっとする。
「わかっていないね。もう霊から石を落とされるなんて目には遭いたくないだろう?」
「あ…ったりまえ…!って、やっぱりあれお化けなの?やだよー怖いよー」
「誰も居ないのに偶然目の前に小石が落ちてくるわけないだろ?まぁ、あれは挨拶みたいなもので、日紅に危害を加えようとしたんじゃないからそこは安心して良いよ」
「ふえぇ…だってもしかしたら夢かとも思ってたし小石もあたしの見間違いかもって…でもなかったことにしたその石を演劇部の部長が拾ってこっちに持って来ちゃうしもうどうしたらいいかわからなくて!」
「忘れるんだね。あの女の人は地縛霊だから日紅に憑いてくるようなことも無い」
それは心底良かった。日紅はほっと息をつく。
「ねぇ、清…あたしなんでこんな幽霊に目をつけられるようになったの?今までは大丈夫だったんだよね?」
「…可能性としては、祝詞」
「ノリト!…ってなに?」
「新宿のおばあさんが唱えていたの聞いてただろう、ひ、べ、に」
わざと青山は切るように言って、右手をいつぞやのようにひらひらさせた。もちろん笑顔で、だ。
「き!…っ聞きましたね、そう言えば」
「まぁ日紅は聞いてなかったかもだけどね」
日紅の友達が幽霊に取り憑かれたと思って、新宿にいるおばぁさんに祓って貰った時のことだ。結局、ゆり自身に幽霊は憑いておらず、お祓いも名目だけで実際は違ったのだが。
「なんでよ。聞いておりましたよもちろん」
「ふうん。てっきり僕は、手を繋いだことに動揺してお祓いどころじゃ無かったか
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