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SAO−銀ノ月−
第百五話
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必然的にその腹心である彼とも顔は付き合わせているのだが。あまりスメラギは自己主張することはなく、彼についてはまるで知らなかった。

「……改めて、だが。こちらでの名前はスメラギ。現実ではセブン……七色の助手をしている」

 彼自身もその事実に気づいたのか、ばつが悪そうに自己紹介を始めた。長身のウンディーネ――野太刀を武器としたスメラギは、特に気にした様子もなく現実における自分のことを話す。セブン――七色自体がオープンにしているからだろう。……助手らしく、必要以上に心配性で過保護のようであるが。そしてその実力は――こちらが気が付かぬうちに、その鈍重な野太刀を俺の首筋に置く事が出来るほどらしく。

「改めてよろしく。……一つ、聞いていいか?」

「答えられる限りならな」

 ……そしてどうやらリズに言わせるに、どこか俺に似ているとのことで。カタナを使う仏頂面な事ぐらいしか、当の本人には分からないが、セブンには聞きづらかったを問うてみた。

「……どうして、この世界に来たんだ?」

 VR世界の研究者たるセブン――七色がこの世界に来た理由。ギルド《シャムロック》を結成し、無邪気に楽しむ彼女を見ていると、とても何かを研究しているような博士には見えない。

 だが、彼女が時折見せるVR世界の研究者としての顔は、俺が会ったことのある茅場や須郷にどこか似ているのだ。自分の目的のためには、どこか禁忌にすら踏み込まんとするような。

「そうだな」

 俺の疑惑の視線に何かを感づいたのか、スメラギはしばし返答をどう言うか考え込む。そしてその口から紡がれた返答は、ある意味予想だにしない言葉だった。

「セブンや俺たち。シャムロックの仲間たち。全てを使って俺たちはある実験をしている。……このゲームを選んだのは、ただ実験に最適だっただけだ」

「…………」

 ――こちらの怪しんでいた言いづらい情報を、まるっきり馬鹿正直に答えられてしまう。完全に予想を外された俺は虚を突かれてしまい、どこか間抜けな表情をスメラギに見せてしまっていた。そんなこちらの様子を見たスメラギは、その仏頂面に小さく笑みを浮かべ。

「もちろん、一般プレイヤーや法律に問題のある行為をするつもりはない。だからこれからも、セブンと仲良くやって欲しい」

「あ、ああ……」

 こればかりは信じて貰う他ないが――と続くスメラギの言葉に、俺はただ頷くことしか出来なかった。そして思ったことは、彼ら――セブンにスメラギ、シャムロックを立ち上げたメンバー――は、底抜けに善人なのだと。

「変な質問をして悪かった。許してほしい」

「気にするな。……怪しいのは確かなのだからな」

 疑ってしまったことを謝罪したい気持ちに襲われ、丁寧に頭を下げた俺に浴びせられ
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