第一部
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ろく
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は不運なことだ。
私はコンピューターガントレットから浮かび上がる立体映像を消して、踵を返す。
救助にきたのであれば、私が手を出す必要もない。
もし、救助隊ではなく、野盗の類であったのなら、その時は殺せばいい。
私は深く考えるようなことはせずに、出口へと向かって歩みを進める。
既に外の小鬼達の掃討は済んだのだろう。洞窟内を進む複数の足音と話し声をヘルメットが検知する。そう広い洞窟でもないし、いずれは鉢合わせるだろうか。
私はわざと、外からの来訪者達の方へと歩みを進め、ある程度の広さと高さのあるスペースまで出ると天井に張り付き、通り過ぎるのを待つことにした。
すぐに救助隊と思われる者達が、私が息を潜めている場所てとやってくる。
先頭を歩く、兜を脇に抱えた女騎士から始まり、松明を片手に6人のフルプレートメイルを着込んだ、腰に剣を差した者達が鎧を鳴らしながら早足で通りすぎる。
「――――。――――――!」
「――!――」
やはり、何を言っているのかは伺い知れないが、レコーダーには記録させておく。
これで全員ということはないだろう。まず間違いなく、出入り口に見張りは立たせている筈だ。
後でもう一度洞窟内をスキャンして……。
不意に先頭を歩いていた女騎士が立ち止まる。それなりにスペースが空いている場所とはいえ、振り返れば視界全てには収まる程度の広さだ。
女騎士は、首を巡らせて周りを見渡すと、天井付近へ視線を寄越し、ピタリと動きを止める。
……勘の鋭い女だ。
私と見つめ合うように、1秒、2秒と時が過ぎ、一人の騎士が女騎士に何か問いかけると、違和感を拭い去るように首を振ってからこの場を後にした。
このように戦いに身を置く者の中で、やたらと勘が鋭い者達がいる。そういった者の多くは、何かしらの戦闘能力に秀でており、隠密での狩猟を生業とする同族も犠牲になることが多い。
女性の身でありながら先頭に立っていたことを考えれば、この隊の指揮官相当の立場にあるのは間違いないだろう。
また、フルプレートメイルを着こなしていたことから、筋力も申し分ない。
それに、全てが見た目通りというわけでもないだろう。
稀にいるのだ。
そういった“不可思議な力”を内包している種族が。
それは、魔法やら念道力やらエーテルやらスキルやら、フィクションでよく好まれた、“異能”といったものだ。
かく言う私も、そんなフィクションの中の生き物であり、種族なので否定はしないが、科学技術を主流として繁栄してきた我々とは根本が違う。科学力全てを無視できるほど万能と言うわけではないが、ある程度の物理法則を螺曲げる様はある意味反則だと言わざるを得ない。
さて、彼女と
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