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もしも、コナンの正体が新一だとばれてしまったら・・・
小学生の特権!? 蘭ちゃんとの嬉し恥ずかし、あれやこれや。 其の一(発覚)

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 「し・ん・い・ち♪」

 やけに上機嫌な蘭の声。
 学校から帰り、事務所の扉を開けたとたんに現れた仁王立ちの蘭の姿にコナンは引きつった笑顔を見せた。
 全身から醸し出されるオーラは、さすが空手の関東大会優勝者の風格だ。今にもとび蹴りが飛んできそうな雰囲気の中、小五郎はデスクに座り、のんきにお茶をすすっている。
 
 「な、なに……? 蘭、姉ちゃん………。」

 このコナンの姿だろうか、それとも長らくそう呼んでいたからだろうか、コナンの口から思わず出てしまった『蘭姉ちゃん』という言葉に蘭の視線はいっそう厳しくなる。

 「あ゛?」

 「いえ、何でもないです……」
 
 コナンは全てを悟ったように言うと、縮こまった。

 そんなコナンのようすに、満足そうにうなずく蘭。

 「見たわよね?」

 「へ?」

 そう聞き返すコナンに、蘭の顔はだんだんと赤くなる。怒りにふるわす拳も、その怒りをだんだんと大きなものにしていった。

 来るっ!!――――。

 そう思ったのも束の間、蘭の鉄拳は、事務所の壁を粉砕する勢いで、まるでその壁が土壁だったかのように大きなかけらがぽろぽろと床にこぼれる。

(なんだよ、騒がしいな。)

 お茶を片手に新聞に目を通すおっちゃん。

 「『へ?』じゃないわよ!! いったい私、何度 あなたとお風呂に入ったと思ってんのよ!?」

 その言葉にお茶をすすっていた小五郎は、口に含んでいた緑茶を吹きまけた。

 「おい、ちょっと待て!! あんだと、てめー! 嫁入り前の娘になんて事を……!」

 般若のような恐ろしい顔で迫ってくる小五郎と顔を真っ赤にし怒っている蘭を交互に見つめながら、これから訪れるであろう自分の末路を悟ったコナンこと高校生探偵・工藤新一。新一の耳に未だ音を立てて床に崩れ落ちる事務所の壁のかけらの音が悲しく響いていた。
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