第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
五十八話 百鬼夜荒 壱
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ァァァァァッ!!」
猛鋳の雄叫びが衝撃波となって、矢群諸共周囲を吹き飛ばし――――彼の周囲数mは更地へと変貌いしていた。
距離を取り再び正面から対峙する形に戻る両者。
「……天魔様、彼奴一人に係(かかずら)ってはおれません。此処は儂に任せ、天魔様は皆の指揮にお戻りください」
「?何を言うのですか!」
黄葉のその言葉に天魔は当然のように反論するが、
「自らのお役目をお忘れですか?……自棄を口になされるのは儂には咎める資格はございませぬ……しかし受けた恩義に報いる為に此処に来た事もまた事実――――我等が長として不義をお働きになる様な真似はしないでくだされ」
静かに……唯静かに……諭す様に、懇願するかの様に黄葉はそう言葉を紡ぎ、天魔は数瞬目を伏せると、
「……分かりました、彼は任せます…………貴方には何時も苦労をかけますね」
天魔はそう言葉を残し翼をはためかせると夜天へとその身を躍らせ、
「今の儂が居るのは貴女様のお陰だというのにのぉ」
黄葉は小さく笑みを浮かべながらそんな呟きをもらした。
「さぁて、そういう訳だ……悪いが儂に付き合ってもらおうか」
そんな言葉と剣の切っ先を向けられた猛鋳は、
「別に構わん……だがやるからには容赦はせんぞ?」
その身の滾りを緩める事も無く突撃の為に腰を落とすと火炎の如く妖気を撒き散らした。
そして夜の闇が落ちる森に白銀の軌跡が再び奔り抜ける。
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