第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
五十八話 百鬼夜荒 壱
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に下った覚え等はないが、傍から見れば変わらんか。確かに貴様の言う通り、そんな言われは無いな……謝罪しよう、許せ」
猛鋳のその言葉に天魔と黄葉は毒気を抜かれ戸惑いを覚えたが、
「まぁ互いに事情は有れど――――此処は戦場だ、弁ではなく力を振るう場所よ。奴に牙を立てたくば我を退けるしか道は無いぞ」
その発言と同時に放たれた妖気の本流を受け瞬時に気を引き締める。
そんな二人の反応を見た猛鋳は獰猛な笑みを浮かべ地を蹴った。
蹴られた地面はまるで爆裂したかの様に大きく抉れ、猛鋳は疾風の如き疾さで天魔達の頭上を取ると両腕を大きく広げ、前方の空間を抱き込むかの様に勢いよく振り抜いた。
その椀撃から生まれた衝撃波は無数の牙の如き鋭さを持ち、獲物である二人へと迫るが天魔の創り出す壁によって防がれる。
天魔達が立つ場所以外は巨大な咢を持つ獣に抉られたかの様な惨状となり見る者に恐怖心すら抱かせる。
しかし天魔達にその様な感慨に耽る暇など無く、既に自分達の背後から迫っていた猛鋳の第二?に対処しなければならなかった。
その一撃も天魔の壁で防ぐが――――その時、既に背後で第三?が放たれている。
その巨大からは想像出来ない速度で、的確に退路を断つ様に放たれる攻撃に天魔達は猛鋳を見誤っていた事を思い知らされた。
自分達に比する速度と荒々しくも緻密な攻撃に……。
防御に徹してしまえば敵の勢力圏である以上、包囲され身動きが取れなくなってしまう。
それが分かっていても、そうせざるおえない状況に追い込まれた始めていた。
力だけでなく戦略も兼ね揃える――――それが個体で大和と渡り合ってきた猛鋳の実力だった。
追い込まれた状況の打破の為、黄葉が危険を承知で猛鋳へと斬り掛かる。
既に放たれていた衝撃波が容赦なく彼を嘗め回し、その身に無数の裂傷を生み、血飛沫の華を咲かせる――――その様はまるで鋭く強靭な棘に飛び込んだかのようだ。
だが黄葉はそれに躊躇する事も無く、地を駆け猛鋳へと肉薄すると、下段から鋭く刃を逆袈裟に振り抜いた。
猛鋳は先程と同じ様に迫る刃に対し腕を盾にして受けるが――――響音と共に彼の腕に赤い線が走り血が舞った。
「良い腕をしているな!白狼ッ!」
猛鋳は防御を抜かれ傷を負わされたにも関わらず、愉快だと言わんばかりの笑みを浮かべながら黄葉に向け掌撃を叩き込む。
その一撃を黄葉は二刀を盾の様に重ね受け止めるが、威力を殺しきれず後方へと吹き飛ばされた。
猛鋳は更に追撃しようと一歩踏み込むが――――黄葉と入れ替わるかの様に天魔が放った十数本の紫色に輝く矢が夜闇に軌跡を残しながら襲い掛かる。
迫りくる矢群に対し、
「ガア
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