第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
五十八話 百鬼夜荒 壱
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は穢れを非常に嫌う、地上の民からすれば友好な妖怪等は結局の所少数派である為、強力な妖怪は脅威であり恐畏でしかないのだ。
猛鋳も積極的に人を狩らないだけで人を喰う事には変わりがなく、人にとっては邪魔者だった。
そんな彼に大和が討伐を敢行するのは必定であり、その襲撃を凌いでいるとはいえいずれ討滅されるのは予想に容易い。
だからこそ猛鋳は百鬼丸の招集に応じ大和打倒に協力している――――詰まる所、利害の一致がこの百鬼丸の組織の根底なのだ。
『“同士”であっても“仲間”ではない』
『“協力”はしても“共闘”が出来ない』
この集団は個々の実力があろうが、良くも悪くも烏合の衆という事になる。
今、猛鋳が駆け抜けているのは木々が生い茂る森の中であり、進路上には無数の樹木が彼の行く手を阻む柵の様に乱立している。
しかしその木々は猛鋳の角と巨体により易々と薙ぎ倒され粉砕されていく――――その様はまるで巨大な牡牛が無数の障子を突き破っているかの様だった。
彼が目指しているのは森の開けた一角に降り立っている一人の鴉天狗である。
天を翔ける鴉天狗がのこのこ地に降り立つのは愚の骨頂――――猛鋳にはその鴉天狗に対し恨み辛み等はないが浮いた駒が真っ先に討たれるのは戦場の常である。
術と疾さが特徴の鴉天狗に猛鋳の巨体と膂力を止める術等無く、その突進を喰らえば進路上にあった木々の様に粉砕されるのは必定。
木々の群れを抜け開けた広場の中央に佇む一人の鴉天狗――――天魔に向け猛鋳は速度を落とす事もなく駆け抜ける……その様は彼の白銀色の体毛も相まって地上を翔ける流星の様だ。
そんな一撃を止められるものなど無い――――そう思わせるだけの脅威の突撃は天魔の数m手前で突然止まった、否……薄らと水晶の様に見える壁に音も無く止められていた。
その現象に猛鋳は瞠目した……自慢の一撃が止められた事もだが一番の問題は今自分の前面にある壁の様なものの事だ。
彼は今まで様々な防御術・結界等を使う輩と矛を交えてきた。その経験から言えば自分の攻撃を止めたコレはそう言う類のモノではない、と。
確かに硬いナニかではある、だがコレは何なのだ?と。
天魔が保有する能力――――『空間を固定する程度の能力』。
この世の全ての事象・現象は必ずその世界の空間の中でしか起こり得ない。
空間を操る類の力であろうが、紫が使うスキマの様な異空間を開き繋げる類の力であろうが、必ずこの世界の空間に作用しなければならないのだ。
水の流れがあるからこそ、その中を魚は自在に泳ぐ事が出来、逆に流れが生まれなけれ
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