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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
1.プロローグ
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兵器の製造を続け、その総量は地球の地表を燃やしつくすほどの威力を秘めている。たとえBETAが地球に侵攻してきたとしても戦争は早期に終結する。金次郎はそう考え、帝国の兵器メーカーが躍起になって取り組んでいる人型歩行兵器―戦術機の開発などよりも、多様性のある主機やパワードスーツ、航空機開発に力を入れるべきだと考え遠田技研の技術開発はそちらの方向に舵取りをした。

しかし1973年、ユーラシア大陸の中心部、中国西端にあるカシュガル自治区にBETAが襲来し、本格的に地球でのBETA戦争が始まると状況は一変した。中国軍の圧倒的な戦力、特に航空兵器の存在によってBETAは当初一方的に殲滅されるだけであったが、しばらくして現れた新種、光線級の存在によって戦況はひっくり返った。それまで絶対的なアドバンテージであった航空兵力はすべて無力化され、地上戦という同じ土俵に立たされた人類は、一気に苦境に立たされた。中国が独力での殲滅をあきらめ、ソ連と同盟を結んでの戦いも、BETAの圧倒的な物量には歯が立たず、中国軍は敗北。
だがその戦いで投入された人類初の戦術機F-4<ファントム>は航空戦力が無力化された中でも三次元的な戦闘を可能にし、戦争に貢献した兵器ということで賞賛を浴びた。

先代社長である金次郎が死に、新しく遠田技研の社長に就任した遠田惣一郎はその事実に驚愕し、焦った。帝国軍は早期から戦術機開発に乗り気で、すでに米国からライセンス権を獲得しており、自国の戦術機開発については富嶽、光菱、河崎の三社に委託している。遠田技研は完全に乗り遅れた立場となった。何とかそれまで地道に向上させてきた主機開発、パワードスーツの発展形とも言える強化外骨格、航空産業のために培ってきたジェットやロケットなどの技術力を評価され、戦術機開発に一口噛むことができたものの、現状は三社の下請け企業に甘んじている状態だ。

カシュガルハイヴ建設から三年、惣一郎は必死に交渉し、遠田技研が戦術機開発に加われるように努力を重ねたが、三社の圧倒的な資金力に加えて、帝国軍上層部との繋がりの強さから、三社共同で推し進める戦術機開発には割りこめないでいた。
そして惣一郎は国内における戦術機開発をあきらめ、生き残りをかけて米国の開発メーカーであるノースロックと共同開発の交渉していた。

深夜、惣一郎はノースロックの担当者からの電話を待っていた。数か月前から始まった交渉は、比較的順調に進んだ。帝国と米国は日米安保で同盟関係にあるとは言え、国内の反米感情は高い。特に帝国軍上層部は安保を主権侵害だと捉えている節があり、戦術機開発においても、純国産を目指している。そしてそれを曲げてライセンス権を獲得したものの、それはノースロック社のライバル企業であるマクダエル社のF-4。ノースロックは帝国での軍事参入を半ばあきらめ
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