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真田十勇士
巻ノ三十八 双槍その一
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                 巻ノ三十八  双槍 
 幸村は槍術の鍛錬を重点的に行う様になっていた、武術の鍛錬の中でも。
 十字槍を両手にそれぞれ持ちだ、縦横無尽に操る。そうした鍛錬を春日山城の中の己の屋敷で日々行っていた。
 そしてだ、こう言ったのだった。
「ふむ、少しであるが」
「身に着いてきた」
「そうなってきましたか」
「うむ、まだまだだと思うがな」
 共に鍛錬を積む十勇士達に言うのだった。
「少しはましになってきた」
「槍の一本一本も難しいですが」
「それを両手で使うとなるとです」
「かなりのものです」
「しかもです」
 見ればだ、幸村の槍はだ。
 普通に馬に乗り使う時と同じ長さだ、幸村はあえて柄の長さをそのままにしているのだ。
 それを使う主にだ、十勇士達は言うのだ。
「槍の長さはそのままです」
「それを片手でそれぞれ使われるのです」
「それだけでも相当なものです」
「かなりの武芸者です」
「そう言ってくれるか、とにかくな」 
 幸村は鍛錬を続けつつ言う。
「二本槍の術をさらに極めていく」
「そうですな」
「それではですな」
「さらに強くなられますか」
「そのつもりじゃ、天下一の双槍の使い手になろう」
「一本の刀でもです」
 その剣術使いの根津が言う。
「難しいというのに」
「水滸伝の董平の様にされるとは」
 筧はこの書から言った。
「お見事ですな」
「しかも殿は軍略も他の武芸にも励まれています」
 猿飛はこのことを言った。
「それでさらにですかな」
「馬術に水練に弓、鉄砲もしておられ」
 海野も唸って言う。
「それもですから」
「ご立派です」
 穴山は幸村に深い経緯を見せていた。
「まさに天下一の方ですな」
「では殿が励まれるのなら」
 二本槍を使うこともとだ、伊佐は畏まった。
「我等も是非」
「お供させてもらいます」
 由利も幸村の傍に控える。
「鍛錬においても」
「さあ殿、では今日もこれからも汗をかきましょうぞ」
 清海はその巨大な金棒を手にして笑っている。
「存分に」
「さて、それでは」
 望月も腕を鳴らして楽しそうである。
「我等も共に」
「ではいきますぞ」
 最後に霧隠が主に笑みを向けた。
「その槍を極められる為にも」
「そうじゃな、拙者もただ槍を振るうよりもな」
 むしろというのだ。
「相手がいた方がよい」
「それではですな」
「これより我等がそれぞれ向かいまする」
「殿、全力でいきます」
「そうして我等も」
「そうじゃ、拙者も御主達もじゃ」
 主従十一人全員がとだ、幸村は彼等に応えて言った。
「共に強くなろう、その為にもな」
「今回も全力で、ですな」
「稽古をしますか」
「稽古は全力じゃ」
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