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ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第229話 心の悲鳴
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編入の件を受け入れていたかもしれない。……キリトに関しての事。自分の好きな、大好きな人のことを言われて、反論もしなかったかもしれない。
それらが脳裏に浮かんだ途端、目頭が熱くなるのを感じた。母のこともあるが、それ以上に自分自身に対する苛立ちがあったからだ。剣士として、悲しい涙や悔しい涙はもう流さない様に決めていたのだが、感情を堪えきることが出来そうになかった。
――何が、剣士だ。
心の何処かで嗤う声がする。たかがゲームの世界で、剣を振り回してきただけ。現実世界にどれほどの影響を及ぼすと言うのだろうか?
――私は、よわい。とっても……よわい。強くなんか……ない。
続けて、明日奈はそうも感じていた。
あの世界で1人の少年に出会い、そして 輪が繋がっていって……自分は変わったと思っていた。誰かに与えられた価値観に盲従するのはやめて、本当に成すべき事のために、戦える人間になった筈……つもりだった。
ところがどうだ?
妹は、親から敷かれたレールを、強制されたルートを拒否してのけた。心を通わせた相手のおかげ、かもしれないけど、はっきりと。
だけど――自分は出来ていない。
一方的に支えてもらってばかりで……、何1つ、ここでは成す事が出来ていない。……なら、何のために現実世界に返ってきたのかが、まるで判らない。
「………キリトくん。……キリト、くん」
いつしか、震える唇の隙間から、キリトの名前を何度も読んでいた。
現実世界に帰ってきて早1年以上が経過する今でも、SAOで得た強靭な精神を苦もなく保ち続けている様に見える。……プレッシャーは、それなりに彼にもある筈だが、全く顔に表すことが無かった。
ずっと、目標だと背中を追い続けてきた相手……リュウキの背中を追い続けてきたからこそ、強くなれたんだと、いつしか キリトにアスナは訊いた記憶があった。
成長……と言う度合いで言えば、レイナもそうだし、……誰よりも深い深い闇を背負っていたリュウキもそうだろう。リュウキの闇を払い、光を差した結果になったのはレイナの優しさがあったから、と言う事も勿論知っている。
そして、そのレイナの光は、現実世界でも消えることなく瞬き続けている。
――自分だけ、なんにも、変わることが出来ていない。
妹の前では強がることができても、1人になればもうダメだった。
キリトに会いたい、と言う気持ちが押し寄せてくる。レイナがそうしてくれた様に、自分もキリトに全てを打ち明けて、泣いて、泣いて……その胸に飛び込みたい。
だけど、できない。
何故なら、キリトが愛した自分は、きっとこの無力な結城明日奈じゃない。
閃光の名を冠した2人の内の一角、最強とも囃されたあ
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