5部分:第五章
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の笑みを浮かべてみせる。
「腕によりをかけて作ってやるからな。天才の俺の料理をな」
「天才って」
「何かお父さん本当に変わったわね」
「ひょっとして私」
そんな夫と子供達の言葉を聞いて。香苗は言うのだった。
「コーディネイトしたのじゃなかったのかも」
「コーディネイトじゃなかったの」
「むしろ昔に戻したのね」
今彼女が言うのはそれだった。
「昔のお父さんに戻したのね。けれどそれは」
「それは?」
「私が気付いていなかったのかも。お母さんがこうするって言ったらね」
「ええ」
「それに全部潔く頷いてくれたから。お父さんはお父さんだったのね、ずっと」
「そうなの」
「多分。ただ」
けれどここで彼女はまた言う。
「そうなったのはお母さんの動きからかしら。お父さんが元に戻ったのは」
「半分半分でしょ」
春香は言った。
「その辺りは。お母さんが動かなかってもお父さんが動かなくなってもそのままだったよ」
「そうなるのね」
「その辺りはね。そう思うわ」
「だろうね」
幸一もそれに頷く。
「コーディネイトって言っても相手があってのものだしね」
「そうね」
子供達の言葉に頷く。頷けば今まで見えていないものにも気付いた。気付けば何か気持ちが落ち着いて尚且つ温かいものになってくる。それを心の底から感じて嬉しい気持ちになる香苗だった。その後ろでは政行が包丁を持ってもう鯖を切っていた。
コーディネイト 完
2008・6・10
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