4部分:第四章
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スのせい?」
「ええ、そうよ」
少し苦笑いを浮かべて二人の言葉に応える香苗だった。今三人は夕食後のデザートだ。政行はまだ仕事中だ。それでここにはいないのだった。
「格好よさが戻ったらって思ったんだけれどね」
「確かに格好よくはなったわね」
「ああ」
幸一は妹の言葉に対して頷いてみせた。見れば本当に美男美女の兄妹だ。一目見ただけで異性に人気がありそうだとわかる。
「それでもね。何か」
「別人みたいだからな」
「あれね。昔のお父さんなのよ」
「昔の!?」
「そうよ」
娘の言葉に答えた。
「昔のお父さんってあんなのだったのよ」
「凄いワイルドだったのね」
「ワイルドっていうかね。一匹狼的でそれでいて人情があって」
おのろけが入っていた。どうも彼女も昔のことを思っているようだ。
「いい男だったのよ」
「それがあんな何処にでもいる中年になっていたのね」
「長い間に鈍っていたのよ」
こう表現するのだった。
「忘れていたんでしょうね」
「で、確か格好よくする為にコーディネイトしたのよね」
「そうよ」
娘に対してまた答えた。
「けれどね。本当にね」
「昔に戻っちゃったのね」
「いいのかしら悪いのかしら」
香苗はそれがどうにもわかりかねているようだった。首を捻ってさえいる。
「今のお父さんって」
「お母さんはどう思ってるんだよ」
幸一が彼女に尋ねてきた。
「私が!?」
「そうだよ。問題はそれじゃないか」
彼が言うのはそこだった。
「コーディネイトしたのはお母さん」
「ええ」
これは話の原点だった。それをしたのは他ならぬ彼女だ。これは揺らぎようのない話だ。
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