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101番目の舶ィ語
第十一話。デート・ア・ミズエ 中編
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で何よりです」

俺は『百物語』の能力を使った時に、コイツの物語に触れた。
あの時、そこに描かれていたのは、強く、気高い『メリーズドール』だった。
復讐相手を探している哀れで悲しい人形なんかじゃない。
あくまで自分の意志で相手を殺すまで追い詰める、誇り高い殺人鬼。その『対象の抹殺』こそが『月隠のメリーズドール』の真髄なのだから。
一之江はそれを貫き通す、その覚悟を持っていた。

「格好いいな、なんて思っちまったんだよ。……不覚にもな。一之江の物語。いや、殺人鬼を格好いいなんて思っちゃいけないんだろうけどさ。でも、それって一之江は敢えて『最強で最恐』の存在になることで、悪さするロアを止めようとしているってのもあるんだろう?」

ヒステリアモードの時に思い浮かべていた事をここで聞いてみる。

「______そこまで気づかれていると恥ずかしいのは確かですが。私の物語に触れた貴方なら仕方ないのかもしれませんね。くそう」

一之江は俺の言葉に小さく悪態を吐く。

「私にそういう想いがあるように。理亜さんにも譲れない想いがあるように。モンジ、貴方にも貴方にしか大事に出来ない我儘な強い想いがあるはずです。それをぶつけてみることです」

そうか。そうだな。
俺にも俺の想いがある。
絶対に譲りたくない我儘な強い想いがあるんだ。

「……よし」

「それで駄目だったらまあ……禁断な妹とのあれこれにでも走って説得して下さい」

「禁断のあれこれって……おい」

「ん? ああ、でも従姉妹なんでしたっけ。だったら禁断でもなんでもないので、ただのいちゃつきになりますね。そんなものに価値はないのでやっぱり今のはなしで」

「価値はないのか?」

「当たり前なことをしても当たり前の結果しか出ませんよ。ものごと、危ない橋を渡ろうとする人の方が革新的な結果を生むものです」

「そういうものなんだな」

意外と深い事を一之江は語ってる気がするが。よくよく考えてみると、この件には実妹のかなめも絡んでるから、危ない橋を渡ろうとしている俺は革新的な結果を生み出せるのか?

「まあ、買い物に付き合わさた分くらいは私も貴方の我儘に付き合いますよ。貴方には、どの『主人公』にも負けて貰うわけにはいきませんからね」

そんな風に語る一之江の顔はどこか赤くなっている気がした。
これはあれか? 今が夕暮れ時だからか?
某有名検索エンジンに今の一之江をかけたら『もしかして・ツンデレでは?』とか出るのか?

「ま、一之江が絶対消えないように。俺も全力で『主人公』をやるからさ」

例え、俺は死ぬ未来が待っているとしても。あんなに血塗れになって倒れるにしても、きっと……背中だけは無事なんだと。今ならそう信じられるから。
背後に
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