3部分:第三章
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るんだな」
「だからインテリアデザイナーなのよ」
このことをまた強調して言葉に出した。
「わかるかしら」
「インテリアデザイナーっていうのは厳しいんだな」
「私だけかも知れないけれどね。そうよ」
少なくとも自分はそうだというのだった。
「私はね」
「わかった。じゃあ酒もな」
「家にかける音楽も」
「音楽!?」
「そこまで考えていなかったでしょ」
「ああ」
とてもそこまでといった感じだった。仕事中は音楽はかけない主義なのだ。
「クラシックね。ロックでもいいけれど」
「音楽もあるといいのか」
「ダンディに」
注文がついた。
「それが条件よ」
「ダンディな音楽か」
「例えばワーグナーね」
いきなりまた随分と何かとある音楽家の作品だった。
「それとかジャズとか」
「ジャズは好きだな」
「じゃあそれね」
「ついでに言えばワーグナーも好きだ」
何気に音楽の趣味がいいのかも知れない。
「それもフルトヴェングラーのがな」
「随分知ってるじゃない」
「基本だ」
平然と言ってみせてきた。
「こんなのはな」
「基本なの、フルトヴェングラーのワーグナーって」
「基本中の基本だ。その世界の人間にはな」
「初耳だったわ。私も勉強が足りないみたいね」
「それは気にしなくていい。とにかくだ」
今度は政行の方からの言葉だった。
「これで決まったな。音楽もな」
「わかったわ。じゃあそれで行きましょう」
「ああ」
こうして何もかもが決まった。三ヵ月後にはもう彼は見事なナイスミドルの作家になっていた。あまりもの変わりように編集者まで驚いていた程だ。
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