83話 鏡
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じない訳じゃないけど……あんな霧をどうこうできるとは思えないわ」
「同感だ。そこら辺で売ってるというのには豪華すぎだがその程度……ってところか」
「サザンビークは古くから続く竜殺しの大国だし、偽物をこうして後生大事に持ってるとは思えないんだけどなあ……」
「竜殺し……」
「エルト、それはもう終わったことなのよ、遠い目しないの」
話が逸れてるって。トラウマスイッチになったのかふらっとしたエルトの肩を掴んで支えて、ゼシカが言い聞かせて。意識が帰ってきたエルトは鏡をじっと見てあっけらかんと僕にはよくわからない、なんてのたまった。まあ、それはいいにしても。魔法の専門家にでも見てもらわないと少々不安だよね。
魔法の専門家……母上、父上、マスター・ライラス……見事に今相談できない人や故人ばっかり頭に浮かぶ。ゼシカに心当たりは……?ないのか。ってないのにそれなのか、すごいなあって、お兄さんが教えてくれた……ごめん。え、ドルマゲスを早く倒しましょう?待ってって。だから、この鏡誰かに見てもらわないと不安だって言ってるの!ルイネロさんは占い専門っぽいし、誰か知り合いに宮廷魔術師とかいないの?一番知ってそうなのは私?トロデーン出身の貴族にトロデーン以外のこと聞いたってさあ……。
なんて少々話し合いをしてたのだけど、他国の宝物庫の中でわちゃわちゃしてたらあらぬ疑いをかけられそうでよくないし、別のところに行こうということにした。そこのところはリーダーエルト、流石に判断がしっかりしてるね!
と、意気揚々と宝物庫を出た所で眼鏡の男性に話しかけられた。サザンビークの人、みたいだ。
「おお、それが太陽の鏡ですか」
「ご存知のとおりです」
エルトが抱える鏡を彼はじっくり見つめている。おお、本物の研究者の目だなあ。こういう真剣な眼差しを見てたらこっちまでいろいろ高まりそう。戦闘に関する研究意欲とか。
「ええ、でも見るのは初めてなんですよ。なにしろ国宝ですからね……おや?」
「お気づきになられました?」
「ええ。魔法の力がほぼ抜けてしまっていますね……」
「太陽の鏡とは呼べませんよね……」
二人の会話は続く。彼は宮廷魔術師かそれに準ずる立場、なのかな、なかなか、どうしてなかなか目がいい……ってそういう話じゃなかった。
「そういうことは隠居したあの方ならお分かりになられるのでしょうが……」
「隠居した?」
「前の宮廷魔術師の方です。もう随分お年なので隠居していらっしゃるのですよ……ああ、その人のところに行かれますか?」
「ぜひお願いします!」
彼は地図を見せるとすぐにその人の場所を指し示してくれた。どうやら少し来た道を戻り、脇道に逸れたその先にある泉のほとりに彼は隠居している、とか。うん、行くっ
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