82話 胃薬
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なきゃどんなことしてたか分からないじゃない。
あのままククールの魔法が発動してたら王子は竜巻に切り刻まれてボロボロズタズタで死んでたかもしれないし、ゼシカの魔法が発動してたら命からがらな焼豚がブヒブヒ王様のところに逃げていって私たちを国際指名手配犯にしたかもしれないし、ヤンガスの手が汚い血で汚れたかもしれないんだよ?駄目でしょ、嫌でしょ!
私が殺ってたら首の折れた王子が素早く大臣宅の前に埋め立てられて私たちはスタコラサッサさ。一番目立たない犯行だろう?しないけど。しなかったけど!
「さてさて、そんな過ぎたことはどうでもいい」
「……早くクラビウス王に報告しないと」
「そうそう。結果はどうであれ私たちは出来ることをやったんだ。なんなら私たちが手に入れたアルゴンハートや大アルゴンハートを渡すってのもいいよね」
「そして太陽の鏡を早く手に入れるってわけだよね?」
「もちろんさ。そしてこのバザーで思う存分装備を整えて、陛下に報告断罪っ!」
なんでみんなはそんな変なものを見るような目で私を見るのかな!ちょっと傷つくんだけど!もう断罪については言及すらしないけど!それでいいけど!
ていうかエルトがだいぶ素っ気なくて、かなり精神的にやられてるのが気になる……。エルト……君休暇が必要なんじゃ……。
・・・・
「……よくぞ戻った」
「当然ですよ」
「流石は剣士トウカ、といったところだろうな」
「ええ。仲間のおかげですが」
「ふむ」
どこからどう見ても……貴族としか思えない洗練された笑みを浮かべ、血で汚れきったせいで普段の服ではなく白い正装……ただし剣士としての……に身を包んだトウカは恭しく胸に手を当て、クラビウス王と対話する。
……女だとわかっても性別不詳だな、特に背中の剣が脳の理解を妨げやがる。浮かべた笑みは可愛いものというより美しく整えられている外向きってこともあるだろう。
「先ほどの……丘でのことは全て見ていた」
「そうですか」
「……トウカよ。もう少し仲間を冷静にしておいてくれないか。肝が流石に冷えたからな。不問にはするが」
「はは、エルトがいるので大丈夫ですよ」
……俺達が王子に危害を加えようとしていたのも丸見えってわけか。それを口頭の注意だけで済ませるなんて大した王サマなこったな。
それに一番ヤバイのはトウカってことを理解してないのも……まぁ、分からないか。見ていたのに王子の帽子の羽根が砕かれたのには気づいていないんだな。
「……ところであやつは、自分の力で手に入れることは出来たのか?」
「ええ、死闘の末」
俺達の、とつくわけだが。まぁ一応その場にはいたわけだ。それにあの馬鹿王子が本当にマトモな戦いぶりでこのアルゴンハートを手に入れることが
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