81話 殺意
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、仕方ないね!この、この……!この野郎!
「……死に晒した方がよほど美しい」
「ト、トウカ?」
「あんな豚野郎でも死んだら仏。美しく尊い存在になれる……」
「えっと、トウカ?ホ、ホトケ?仏って、えっ?」
「なんであんなのが姫様の許嫁なんだろう……結婚式では暴れてどさくさ紛れに殺さないと……姫さまをお救いしないと……」
「待って?分かるけど、どこまで思考が飛んでるの?」
「あぁ、エルト、私は冷静さ。最高にクールだから。安心してくれていい。ちょっと、殺してくるから見ていてくれないか。また一人、私の剣は血に染まる。下衆しか殺していないから剣がどんどん曇ってしまうな。剣が濁るのはよくないな……斬るより、殴り殺そう。そうしようね。私にしてはいいアイデアだ」
「みんな止めて!手伝って!トウカの瞳孔、カッ開いてる!」
不穏なことを僕に囁いたトウカはごきりごきりと指を鳴らし、獰猛な笑みを浮かべ、完全に怒りに身を任せているのか足元の地面を砕きつつ王子に歩み寄ろうとして……止めて!ほんとに駄目だから!今までの苦労が水の泡になっちゃう!ドルマゲスが倒せなくなるよ、いいの?良くないでしょ?投獄されても脱獄しそうだけどそういう問題じゃない!駄目だよトウカ!
「ふふん、お前たちも来ていたのか」
そこで騒いでいたから王子に気づかれてしまった。最悪だ。ククール、ゼシカ、ヤンガスが抑えているけどなんともはや……本気でトウカが振り払ったらもう駄目だろう。怒りで我を失う寸前だから。そんな時に話しかけるとか自殺行為だから!死にたいの?!勝手に死ねば!でもここでトウカに命を捧げるのは迷惑!
「ええ、賑やかなバザーを楽しんでおりました」
過去形なんだね!楽しんで「た」なんだね!僕もだよ!僕もだから!落ち着いて!言葉が丁寧なのに目が怖い!命の危機なのになんでこいつ気づかないの?鈍いの?馬鹿なの?トウカが器用にも殺気を隠してるからなの?!
「フン、そうか。ではぼくはこれを父上にお見せしてくるからな、お前たちの出番はない。勝手にするんだな」
「……はい」
怒りに燃えていたトウカは、割合大人しく返事をし、馬鹿は去っていく。……流血騒ぎも王子殺人事件も起きなくて良かったはずなのに、親友が国際指名手配犯にならずに済んだのに、ちょっと残念に思えてしまうのは不謹慎だよね……ちょっと、残念だよ。もちろん安堵のほうが大きいけど……トウカ、そうだ、トウカ・モノトリアだもんね、自分の感情を優先したりしない、よね……。
「……はは」
「よく我慢したね」
「我慢?いやいやいや、あんな奴の体にも触れたくなかっただけだから」
「剣気飛ばせる人間の言う言葉じゃないよ」
「そりゃそうだ。はは、これはこうだ!」
トウカはなんとあの会話で王子の帽子
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ