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剣士さんとドラクエ[
81話 殺意
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。私にもやってくれないかな。

・・・・

 ルンルンと花を周りに散らしているように明るくテンションが高く、僕らの先頭をトウカは歩いている。どこかに行ってしまいそうにはないからいいけど、対照的にほかのみんながどこか暗い。僕が寝癖を直している間に何かあったんだろうけど……んん、デジャヴ。そこまで教えてくれないから聞かないけど、また何かやらかしたりしたんだろうな。

 ……きっとトウカの性別のことだけど。正直気づかない方が悪くないかな?……僕とか、親友の性別に十年も気づかない鈍さだったし。深く反省してる……。

「エルト!新しい槍見た方がいいよ!折れるから!」
「あぁ、うん」
「魔法の盾かぁ……魔法が使えるようになるの?え、ならないって?魔法防御が上がる?それはそれは、最高じゃないか!」
「待って待って、装備出来ないかもしれないから全員分買わないの!」

 ……今考えるのはよそう。考え事してたらテンションが最高潮なトウカを抑えられない。魔法の盾は確かに有能な盾だから是非揃えたいけど……ただの盾よりやっぱり高いよね。

「今までどれだけ魔物を倒してきたと思ってるんだ、エルト」
「とてもたくさんかな?」
「あぁそうだな。うんざりするほど沢山だ。つまり儲かってるって訳だろ?リーダーの財布の紐がかたいのはいいことだが、俺はもう少し装備を整えた方がいいと思っている。全員の武器や防具を新調したって足りるだろ。そうしたら回復の間隔も撃破の時間も色々改善するだろうよ。あとトウカに早く盾を買ってやれ。回復が追いつかない。あとなんか頭にかぶせるんだ。回復が追いつかない。それから……」
「う、うわダークサイドに落ちないでククール。分かった、揃えるから目が死んでるよククール!」
「俺の苦労がわかったんならいいから前衛の防具を揃えろ……」
「分かったから!」

 ククールが死にかけてる。目が魚より死んで胃を抑えて死にかけてる!……ふっと脳裏をよぎるベホマが追いつかない恐怖、僕はスクルトもスカラも唱えられないから防御を上げる補助も出来ない中、ひたすらベホマが間に合え、死なないでと祈る緊迫した戦闘、飛び散る味方の血。蒼白の顔色を見て、僕の血まで凍りつきそうな瞬間……怖かったよ。とてもククールを理解した。

 僕も胃が痛くなってきたし……宣言通り買おうね。これから良い調子で進んでいけば遺跡の中でドルマゲスと対峙する。王子と一対一で本来は戦うはずのアルゴングレートであれだけ強いんだ、各地に現れ、すぐに去って誰かしらを殺していくドルマゲスはもっと強いだろうし、前回歯が立たなかったんだからそれでいい、よね。僕はどうにもこうにも財布の紐がかたいみたいでそれはもう癖なんだけど……逆に直さないと胃が……。あ、ククール胃薬買った?買ったんだ。後で僕も買おうかな
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