81話 殺意
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女と知られてしまっても殺されはしなかったと思うよ。撃退できたし……趣味みたいなものだったんだから、許されることじゃない」
「トウカ。あなたがいなかったらアタシたち、それにトロデ王や馬姫様もどうなっていたのか分からないのよ?そのことを考えたら……」
「ゼシカは優しい女の子だからね、そう思ってくれるのはありがたいよ。……すべては陛下のお心のままに私は行動するから」
ほんとに、優しいよね。でもね、兵力的にこんな人数しか味方がいない今、殺されたり姿を見せるなとかそういう罰はそもそも想定していないんだ。そんな場合じゃないから。……後々は別だよ?そういう道を示されるかもしれないんだ。
でもさ、近衛としての地位を剥奪して戦うこととか、エルトたちと対等ではいられないとか、罰って色々あるでしょう。
一応、男児とどんな文書にも記した覚えはないし、兵を志願した時にも……男しか志願するのを想定してなかったみたいで性別を書く欄がなかったんだよね。手紙を書く時とかでも全部「モノトリア長子」で統一してたし。言い逃れできるように、と言ったら言葉が悪いけど……そういう問題でもないよね。だって声まで変えてるんだから。
唯一言い訳するとしたら、ハニートラップとか出来るような頭も体もないってことかな、うん。可愛い顔でもないし、声は男のように低くしてたし、ぺったんこの上に鎖帷子やら重ね着やらで押しつぶしてたんだからそういう意味では女として兵に混ざってたっていう懸念はないはず……。どう見られるかは知らないけど!とりあえずエルトにはバレてなかったんだから女という認識がないし……うーん。唸ってばっかりだ。
「……えっ、何この空気」
「エルト、おかえり」
「ただいま、トウカ。で、なんなのこれ」
「あんまり気にしなくていいよ?」
にこっと笑って見せれば、エルトは私の顔と神妙な顔をしているみんなを見、何も言わないでくれた。みんなを見比べて何を思ったのか、あぁそう、とそれ以上の追及をしなかった。
その時ククールが私たちのやり取りを見てぼそぼそと呟いていたけど声が小さすぎて聞こえなかった。でも聞こえたらしいゼシカが顔を引き攣らせてまで笑いをこらえていたから面白い事だったのかも?
「姉貴」
「なんだい?」
「あっしは、姉貴がおっさんにどんなことを言われたとしても味方でがすよ」
「わお……心強いね。ありがとう……」
「当然でがす」
ヤンガスって、やっぱりカッコ良くない!ゲルダさんが羨ましくなってきたね!ヤンガスが味方になってくれても、私は罰には従うんだけども。
あ、なんでか舌打ちしたククールがゼシカに蹴り飛ばされた。ゼシカとククールって仲いいよねぇ。お似合いかも?にしてもさ、容赦なく徒手格闘を手伝ってくれるゼシカって優しいなぁ
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